Wリーグから3×3で世界へ
TOKYOへの道を切り拓く代表候補選手たちの想い

2020年02月04日



文:大橋裕之/写真:Wリーグ

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3×3代表候補の壮行試合
 東京オリンピックへの切符獲得に挑戦する選手たちを送り出す壮行試合のようだった――。1月19日に行われた『Wリーグ オールスター2019-20 in TOKYO』のハーフタイムに、3×3女子日本代表候補による『Wリーグ 3×3 ベストオブベスト オールスターマッチ』が開催された。振り返れば、昨シーズンのオールスターゲームでは、矢野良子をはじめとしたOG選手と、現役選手が初めて同じコートに立ち、エキシビションゲームを通して、3×3をファンや関係者へ伝える大きなきっかけを作った。

 それから月日は立ち、代表メンバーはWリーガーがメインとなって、世界を転戦。女子の国別対抗戦となる『FIBA 3×3 Women’s Series』や、23歳以下の選手による『FIBA 3×3 U23 Nations League』で経験を積み、昨秋の『FIBA 3×3 U23 World Cup』では日本代表の全カテゴリーを通じて史上初となる世界一に輝いた。

 そして3月18日からはいよいよ本番、東京オリンピックの出場権をかけた、『FIBA オリンピック選考会(OQT)』に臨む。日本バスケットボール協会の三屋裕子会長は、「3×3の選手たちは3月の末にオリンピック最終予選に挑みます。是非、皆さんの大きな大きな力で彼女たちをオリンピックに連れていってやってください」と、アリーナ立川立飛に集ったファンへ応援を呼び掛けた。

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大観衆の前で3×3を披露できた嬉しさ
 もっとも世界で結果を残してきた女子代表であるが、今回のように代表候補選手たちがそろって、国内で3×3のコートに立つ姿は、昨秋のWomen’s Series東京大会以来、じつに2度目のこと。オールスターのハーフタイムに、満員の観衆の前でプレーできたことは、彼女たちにとっても気持ちが高ぶり、嬉しいものだった。

 国内ランキング1位の篠崎澪(富士通レッドウェーブ)は、「(これまで)国際大会ばかりだったので、日本の皆さんの前でプレーする機会がなかなかなかったのですが、今日はこうやってバスケットボールファン、大勢の皆さまの前で3×3ができたことは楽しかったです」とコメント。

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 また同ランキング3位の西岡里紗(三菱電機コアラーズ)も、「初めての経験でした。すごく楽しかったです。いつも5人制のことを観ていただいているファンの方が多いと思うのですけど、3×3という競技を知っていただけたことは大きいことだと思います」と語れば、永田萌絵(東京医療保健大学→トヨタ自動車アンテロープス)も次のように振り返った。「初めての経験ですし、このように貴重な場を設けていただいて(3×3をあまり知らないお客さまもたくさんいたと思いますが)、少しは3×3の魅力を知っていただけたかなと思います」

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OQTの戦い方と心構え
 一方で東京オリンピックへの道は非常に狭き門である。来たるOQTは男女各20チームが出場し、出場権が与えられるのはそれぞれ上位3チームのみ。まずは5チームずつに割り振られた予選を2位以内で突破し、さらにノックアウトトーナメントを勝ち上がる必要がある。とりわけ予選のヤマはオーストラリア戦。ドライブと2ポイントシュートも兼ね備えた180㎝以上の長身選手をズラリと擁する相手で、2019年は主要大会で4度直接対決するも、全敗を喫している。では、5度目の対戦で強敵を破るべく、残り僅かな合宿で磨くべきポイントはなにか?

 篠崎は曰く、“ディフェンス”と、生命線になる“2ポイントシュート”を挙げた。「ディフェンスで相手に簡単に好きなように動かれてしまっているので、まずはアークの外に出さないディフェンス。そこからしっかり1対1で守ることもそうですし、駆け引きをしながら相手を抑えること。それと、やっぱり私たちは(身長が)小さいので、2ポイントと1ポイントをバランスよく獲っていかなといけないので、私の課題でもあるんですけど、2ポイントの精度を上げていく。2ポイントに繋がるプレーをどのようにして作っていくかも(勝利への)鍵になると思います」

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 さらに、オーストラリアと言えば、昨年のW杯で延長戦にもつれながらも、2ポイントシュートを被弾する悔しい敗戦を経験した相手でもある。伊集南(デンソーアイリス)は、あの場面にいた1人であり、だからこそ、大一番に向けた想いも印象的だった。「W杯で私たちは予選負けですが、あのオーストラリア戦がどの試合よりも一番競っていました。そこに自分がいたことは大きいですし、大きいというか、“借りを返したい”気持ちが強いです。OQTを勝ち取ったチームからメダリストが生まれると考えていますので、日本は(3×3の)歴史が浅い分、そこで経験を積んでオリンピックに持っていくことが一番良い展開ではないかと思っています」

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3×3でTOKYOへの道を切り拓く
 すぐに第7次強化合宿が開催される。個々が持ち味を発揮して、それが最大限に嚙み合うベストな4人は誰になるのか? 各選手の意気込みは強く、「Wリーグを戦いながらでも、3×3でしっかりチャンスをモノにしたいと思っています」と山本麻衣(トヨタ自動車アンテロープス)が言えば、「東京オリンピックは人生の中でもうないチャンスだと思いますから、全力で頑張ります」と、馬瓜ステファニー(同)も宣言する。コーチ陣にとっては、ロスターを構築する判断がとても悩ましいだろう。

 ただ、ひとつ言えることは、3×3で経験を積んできた今の選手たちなら、誰が『日の丸』を背負っても、海外の強豪国と伍して戦い、TOKYOへの道を切り拓いてくれることは大いに期待できる。残された時間で、日本としての戦い方を磨き上げ、苦渋を舐めた経験も胸に、彼女たちは最高の準備をして、世界へと羽ばたくに違いない。