もう一つの車いすバスケ
車いす”ツイン”バスケットボール

2019年06月25日



文:川西祐介/写真:大澤智子/一般社団法人日本車いすツインバスケットボール連盟

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 第32回日本車いすツインバスケットボール選手権大会が墨田区総合体育館で6月22・23日にわたって開催された。

 車いす“ツイン”バスケットボール。競技名称に“ツイン”が含まれている通り、車いすバスケットボールとは異なる競技だ。

 車いすツインバスケットボールは、下肢のみだけでなく、上肢にも障害を持つ重度障害者でもプレーできるように考案された。上肢に障害を持つため、通常のバスケットボールや車いすバスケットボールと同じゴールの高さ(305cm)まで、シュートが届かないプレーヤーのためにもう一つ低い(120cm)ゴールが設置される(低いゴールは通常のバスケットボールのフリースローライン上に置かれる)。つまりゴールが2つ、これが“ツイン”の由来となっている。

 また、低いゴールの周囲には直径3.6メートルの円(通常のフリースローサークル)があり、プレーヤーは障害の重さによって、円の外からのシュートしか認められない“円外シューター”と、ゴールに近づいてのシュートが認められる“円内シューター”に分けられている。さらに通常のゴールにシュートする“上シューター”もおり、それぞれのプレーヤーが自分の障害に応じたプレーでゲームに参加できるスポーツだ。

しびれるような接戦、会場一体で盛り上がる
 日本車いすツインバスケットボール選手権大会は、全国各ブロックの予選を勝ち抜いた12チームによるトーナメント戦で「日本一」を争う。

 決勝に進んだのは、第26回大会から第30回大会まで5連覇を達成した東京代表Horsetailと、前回の第31回大会を制し、2連覇を狙う神奈川JUNKSの2チーム。

 Horsetailは上シューター#9成毛裕継がゲームをコントロールし、過去の大会で得点王やMVPを受賞したことのある円内シューター#5小田勇人や円外シューター#14佐藤善昭につないでフィニッシュする、どこからでも得点ができるのが魅力のチームだ。

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Horsetail #9成毛裕継

 一方の神奈川JUNKSは前回大会のMVPで円外シューターの#15橘内祐太郎、同じく得点王の円内シューター#8伊東良平を擁する強豪。選手層が厚く、交代カードを上手く使ってディフェンスのプレッシャーをかけ続け、相手を押し切ってしまうようなタフなバスケットを展開する。

 序盤1Qはそんな両チームの特長が良く出た展開となった。神奈川JUNKSは身長が高く、低いゴールでダンクが可能な#8伊東の円内シュートで確率良く得点を重ねる。一方のHorsetailは#9成毛と#14佐藤がボールをプッシュし、#5小田が得点した。12-10と神奈川JUNKSがリードで最初のクォーターを終えた。

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Horsetail #5小田勇人

 続く2Qも神奈川JUNKSは#8伊東が驚異的なペースで得点し、前半だけでチームの24点中18点を記録する。Horsetailは先の3人に加えて円内シューター#11櫛田浩二も得点するなど、上、円内外とバランスよく点を取り、このクォーターを同点とし、24-22と2点差のままハーフタイムを迎えた。

 3Qの立ち上がり、神奈川JUNKSがディフェンスで仕掛けると一時12点までリードを広げた。しかし、Horsetailも立て直して食い下がり、最終的には2点差まで追い上げて4Qへ。

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神奈川JUNKS #15橘内祐太郎(右)

 最終クォーターに入ると、ここまで得点がなかった#15橘内がシュートを決めるなど、再び神奈川JUNKSがスパート。こうなると、Horsetailはもう一度追い上げることができず、65-55とリードを広げ、神奈川JUNKSが大会連覇を決めた。

 決勝でチーム65点中45点を上げ、大会MVPと得点王を受賞した伊東は、「今日は僕が点を取りましたが、それはチーム全員が自分たちの仕事をした結果だと思います。このチームワークの良さこそが、ウチの強さにつながっていると思います」と勝因を上げた。

 また、円内でダンクを決めて得点を重ねたことについては「それは僕の持ち味でもあるので、こういうバスケもあるんだぞって、観ている方のことも意識してプレーしていました」と、ツインバスケの魅力を広めたいという気持ちも披露してくれた。

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神奈川JUNKS #8伊東良平

 負けたHorsetailの司令塔の成毛も「ゴールが2つあることで、障害が重い選手でもシュートが打てるし、得点ができて活躍ができるというのが、このスポーツの魅力かなと思います」と話してくれた。

 パラリンピックの種目には入っていないため、車いすバスケットボールと比べると認知度はまだ低いツインバスケットボールだが、より重度の障害があっても参加し、競い合えるスポーツというのは非常に有意義なものだと思う。車いすバスケットボールと同じく、“ツイン”も国際的な競技として発展していくことを期待したい。

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2連覇を達成した神奈川JUNKS