負けは負けでも特別な負け
1勝の重みを感じる次戦へ

2019年09月06日



文:hangtime編集部/写真:ⒸFIBA.com

馬場002

 2次ラウンド進出を阻まれた日本が、グループEの最終戦で対戦したのは前回、前々回の王者にしてFIBAランキング1位のアメリカ。日本代表のフリオ・ラマスHCが記者会見などでアメリカに言及する際、“ドリームチーム”と表現するのを何度も聞いている。スーパースターが代表入りを辞退、というニュースを度々耳にしたが、それでも全員がNBA戦士。本命であることに変わりはない。そんなアメリカに対し、日本にもNBA選手である八村塁、渡邊雄太がおり、ニック・ファジーカスもNBA経験者。今夏のNBAサマーリーグには、馬場雄大、比江島慎が参加した。ここはひとつ、「相手にとって不足はない」そんな心意気で挑んで欲しいところ。

 スターターに名を連ねたのは八村、渡邊、ファジーカス、馬場の4人に、ポイントガードは篠山竜青を起用。ティップオフのセンターサークルには、いつものように八村が立った。ボールはアメリカが保持し、PGのケンバ・ウォーカーがインサイドへ切れ込み、篠山のファウルを誘って3ポイントプレーを成功させる。次は、ドノバン・ミッチェルが3Pシュートを決めるなど、アメリカはチームを引っ張る2人が順調な立ち上がりを見せた。その後も攻撃の手を緩めないアメリカが11点のラン。日本はたまらずタイムアウトを取り、何とか流れを切りたかったが、5分20秒までノーゴールが続いた。

渡邊001

 日本の初得点はゴールへアタックした渡邊が得たフリースローで2点を稼いだ。ゾーンディフェンスで目先を変えようとする日本に対し、ボールを回して確実にシュートチャンスを広げるアメリカ。日本の初フィールドゴールは、ファジーカスが柔らかなタッチで決めたシュートで残り4分16秒だった。その後も単発ながらシュートを狙えるようになった日本。しかし、アメリカのディフェンスの前に、思うようにボールを押し込むことができないばかりか、ターンオーバーも連発し日本が目指すバスケットは不発のまま。途中出場の田中大貴が3Pシュートを決めるも、9‐23で1Qを終えた。

 2Qの出だしは田中のターンオーバーから、相手の得点でスタートした。その後、ミスが重なる日本はオフェンスの組み立てができず、ボールを奪われては得点を許す場面が多発。わずか3分の間に10‐32とリードを広げられてしまう。

 コートにいるのは5人ずつのはずだが、アメリカはボールを持った瞬間にまわりの選手を動きを確認し、素早くフリーのシュートチャンスを作り出していく。誰がボールを持ってもそれは同じで、パスが1つ回るたびに日本のマークがずれ、「1人足りないのでは!?」そんな印象さえ受けるほどだった。

竹内譲001

 苦しい展開が続く中、何とか打開しようともがく日本は比江島が独特のステップで切れ込みシュートをねじ込めば、馬場も得意のランニングプレーでゴール下へ。21‐46としたところでアメリカがタイムアウトを要求した。

 タイムアウト後のアメリカはギアを一段上げてきた。ボールへのプレッシャーは激しさを増し、ボールを奪うと次々にシュート決めて一気に差を広げ、前半を修了して23‐56。覚悟した以上に、一方的な展開となってしまった。

 後半、何とか一矢報いたい日本は八村、渡邊、ファジーカス、馬場、田中がコートへ。それぞれがテーマを持ち、最後までアメリカに挑んでいく。1本のシュート、目の前の選手とのマッチアップ……なす術なしでは終われない。が、アメリカの本気度は凄まじかった。何故なら彼らには、「自らを証明しなければならない」ミッションがあり、アメリカの誇りもある。トルコ戦の苦戦を払拭し、2次ラウンド以降の戦いに弾みをつ」けたいとの思惑があるだろう。結局、反撃は叶わず31‐84で3Qを終え、ラスト10分に日本は意地を見せるしかない。

安藤誓001

 4Qは竹内兄弟、渡邊、比江島、安藤誓哉がコートに立った。しかし、アメリカの勢いは増し、その差は広がるばかり。日本がマンツーマン、ゾーンを切り替えながらディフェンスしてもお構いなしで、ファストブレイク、3Pシュート、ダンクシュートを織り交ぜて観客のため息を誘った。

 こうなれば日本は、個人プレーと言われようが、何かをつかみ取るためのプレーに徹しても構わない。馬場がゴールに突進し、安藤周人がアウトサイドからシュートを放つ……結果は44‐98。八村が現役NBA選手の強烈な洗礼を受け、完璧に抑えられた。渡邊はゴールへのアタックで何度かチャンスを演出したが、思うように仕事をさせてもらえなかった。そんな中、この試合で一番の輝きを見せたのが馬場。18得点でチームのスコアリーダーとなり、豪快なダンクを叩き込んだ。

馬場001

 負けは負け、しかしながら次戦こそ1勝を挙げるためにという思いが溢れるプレーが随所で出た。ルーズボールに飛び込む篠山、リバウンドに絡もうとする竹内兄弟。ミスが目立った内容は残念だが、これが今の実力であり、反省して次戦に臨んで欲しい。

 1勝が遠く、その重みがこれほど感じられるのはワールドカップだからこそ。順位決定戦に回るが、7日のニュージーランド戦、そして9日のモンテネグロ戦で、「ヨーロッパ勢からの初勝利」という、今大会のテーマを実現してもらいたい。日本らしいバスケットを貫けば、きっとできるぞ!