目的を果たした強化試合
結果を求めワールドカップへ

2019年08月28日



文:hangtime編集部/写真:大澤智子、川西祐介、日本バスケットボール協会 ©JBA

八村 大澤

 8月31日から開幕する「FIBA ワールドカップ2019」に向けた強化のため、男子日本代表が国際試合を戦った。相手はニュージーランド(FIBAランキング38位:1位:1勝1敗)、アルゼンチン(同5位:1敗)、ドイツ(同22位:1勝)、チュニジア(同51位:1敗)の4カ国で、FIBAランキング上位国から2勝を挙げるなど、本番前の強化試合として十分にその目的を果たしたと言える。

 ニュージーランドとの第1戦は99‐89というハイスコアで勝利したが、八村塁が35点、ニック・ファジーカスが21点と半分以上を2人で叩き出した。この試合、ケガで出遅れた“BIG3”の一角、渡邊雄太は出場しておらず、「もし3人が揃ったら……」と、大きな期待を感じたファンも大勢いただろう。

 そして迎えた第2戦、初めて“BIG3”の揃い踏みが実現した。10分間という限定ながら、「我々のベストなメンバー」とフリオ・ラマスヘッドコーチがスタートに送り出した。その3人にポイントガードの篠山竜青、田中大貴を加えたスタメンだったが、今後も田中の代わりに比江島慎、馬場雄大が起用されるケースが定着しそうだ。

 この試合は当然のこと八村、ファジーカスへのマークは厳しく、八村19得点、ファジーカス17得点とスコアメイクに苦しんだ。渡邊もベストコンディションではない中、では誰が彼らの代わりに点を取りに行くのかが見えないまま、ずるずると後退してしまった。87‐104の大敗はディフェンスの課題とともに、八村頼みの弱点をさらすことになってしまった。

 明るい材料としては、ポイントガードの安藤誓哉、シューティングガードの安藤周人がハツラツと積極的なプレーを披露したこと。さらには、馬場雄大が持ち味のスピードを活かし、ダイナミックなプレーでゴールへアタックし続けたことだろう。その躍動感は観る者に勇気を与え、アリーナ全体を大いに盛り上げる。“BIG3”に続く存在、というより“BIG4”と呼ぶにふさわしい活躍を、すべての試合で見せてくれた。

集合 JBA

 残りの3戦は舞台を東京五輪のバスケ会場、さいたまスーパーアリーナに移した。強豪国のアルゼンチン、ドイツと続く2戦は、トルコ、チェコとの対戦が続くワールドカップ本番を見据えた格好のカード。ラマスHCの母国アルゼンチンは、日本のバスケットボールが強化のお手本としている国であり、世界水準を知る上でもこの時期の対戦は良いバロメーターになる。

 アルゼンチンとの対戦は93‐108と大差をつけられてしまったが、93得点は一定の評価ができるところ。八村(23点)、渡邊(13点)、馬場(17点)、ファジーカス(15点)に続き、ポイントガードで起用されている田中が12点と見せ場を作った。ゲームメイクではまだもの足りなさを感じるものの、本来の武器である得点力を発揮することができた。

渡邊 JBA

 それにしてもアルゼンチンの巧みさは一枚も二枚も日本を上回っていた。ローポストでの位置取りや、スペースを作り出す連動性、その上で放たれる高確率の3Pシュートなど、フィジカルの強さや戦術の理解力はすでにベースとして根づいており、そこに選手個々の力を融合してチーム力を高める。まさしくお手本となるバスケットだという印象を強くした。

 続くドイツ戦は見どころ満載の試合だった。とくに前半の劣勢を挽回し、86‐83と逆転して勝ち切ったことは大きい。ドイツが連戦だったことを踏まえ八村はこうコメントした「相手の状況がどうであれ、勝ちたいと思って試合しているはず。勝ったことは自信につながる」。ラマスHCも「今日の選手たちはMaxに近い頑張りを見せた。戦術などはアルゼンチン戦と変わりなく臨んだが、目指すバスケットの実行力が高まった」と確かな手応えを感じたようだ。

田中 JBA

 試合は残り3分18秒で八村が31点目のシュートを決めて、75‐77。残り2分46秒には篠山が4つ目のファウルで相手にフリースローを与え、75‐79に。互いに得点を重ねながら、残り2分1秒にファジーカスが3Pシュートを決め80‐81とした後、馬場がフリースローを得た。これを2本とも決め82‐81とし、粘りに粘った日本がようやく逆転に成功した。

 その直後、相手のシュートミスを八村がリバウンド。篠山がボールを受けて攻撃を仕掛けた際、いつもなら得点源の八村、渡邊を探すところだが、2人へのパスが難しいと見るや、自ら切れ込んで見事なフローターを決める(84‐81)。「相手のマークが厳しく、ここは自分が行くしかないと思って」(篠山)というプレーは、篠山らしい落ち着きと判断力、アグレッシブな姿勢の表れ。ベンチやアリーナ全体を巻き込み、“日本一丸”を体現するプレーだった。

日本一丸 JBA

 八村31点、渡邊20点、この日スターターを任された比江島が10点、6thマンの馬場も10点を記録。篠山、田中が3アシストと好材料が揃った反面、リバウンドやアシストの数はドイツに10以上の差を付けられており、さらなる改善が求められるところだ。

 最終戦、チュニジアとの対戦は、ロスター入りを賭けたサバイバルであり、ラマスHCもさまざまな工夫を凝らすなど、強化試合の意味合いが強かった。八村と篠山が欠場し、ポイントガードとインサイドの、「あと一枚の切符」と「八村不在時の対応」を見極めるための試合となった。そこで結果を残し、日本に安心材料をもたらしたのが比江島、竹内公輔、安藤誓哉の3人。言わずもがな、比江島の得点力は日本にとっては不可欠な要素であり、この一戦で本来の感覚を取り戻したはず。竹内公輔は出番が少なかったにもかかわらず、やはり安定感を発揮した。安藤誓哉については、田中、竹内譲次、馬場らアルバルクカルテッドの時間帯で、いつもの実力を発揮できたのではないだろうか。

 この試合はロースコアで推移する中、終始守勢に回ったものの、最後の最後で追いついた。ところがラスト1プレーで相手にシュートを許し、76‐78で敗戦。こういう負け方を経験したことをプラスに捉え、ワールドカップ本番で活かしてほしい。今回の国際試合で「強化」という目的は十分に果たせただろう。

八村 JBA

決戦の地へ! 12名の最終エントリー
 8月27日、「FIBA ワールドカップ2019」の最終エントリー内定者12名が発表された。大会開幕前日にFIBAが実施するテクニカルミーティングにおいて承認されれば、確定となる。30日朝、大勢の見送りを受けて決戦の地へと飛び立った。

=スタッフ=
ヘッドコーチ:フリオ・ラマス(日本バスケットボール協会)

=エントリー内定選手=
#3 安藤 誓哉(PG / アルバルク東京)
#6 比江島 慎(SG / 宇都宮ブレックス)
#7 篠山 竜青(PG / 川崎ブレイブサンダース)
#8 八村 塁(SF / ワシントン ウィザーズ)
#10 竹内 公輔(PF / 宇都宮ブレックス)
#12 渡邊 雄太(SF / メンフィス グリズリーズ)
#13 安藤 周人(SG / 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
#15 竹内 譲次(PF / アルバルク東京)
#18 馬場 雄大(SF / アルバルク東京)
#22 ニック・ファジーカス(C / 川崎ブレイブサンダース)
#24 田中 大貴(SG / アルバルク東京)
#32 シェーファー アヴィ 幸樹(C / 滋賀レイクスターズ)
※所属は2019 年 8 月 27 日現在

【FIBA バスケットボールワールドカップ 2019」大会概要】
期間:2019 年 8 月 31 日 (土)~ 9 月 15 日 (日)
開催地:中国 (北京、武漢、広州、仏山、上海、南京、深圳、東莞)
出場国:32カ国
[POOL A @北京] コートジボアール、ポーランド、ベネズエラ、中国
[POOL B @武漢] ロシア、アルゼンチン、韓国、ナイジェリア
[POOL C @広州] スペイン、イラン、プエルトリコ、チュニジア
[POOL D @仏山] アンゴラ、フィリピン、イタリア、セルビア
[POOL E @上海] トルコ、チェコ、アメリカ、日本
[POOL F @南京] ギリシャ、ニュージーランド、ブラジル、モンテネグロ
[POOL G @深圳] ドミニカ、フランス、ドイツ、ヨルダン
[POOL H @東莞] カナダ、セネガル、リトアニア、オーストラリア

=1次ラウンド日本戦予定=
9/1(日) 対 トルコ  日本時間 17:30 試合開始予定
9/3(火) 対 チェコ  日本時間 17:30 試合開始予定
9/5(木) 対 アメリカ 日本時間 21:30 試合開始予定

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