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3×3 JAPAN TOURに深夜帰りの男たち
世界と戦う道を切り拓いて痛感した“差”

2019年05月09日



文:大橋裕之/写真提供:日本バスケットボール協会

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JAPAN TOUR開幕戦に深夜1時帰りの男たち
 B.LEAGUEのチャンピオンシップが幕を開け、フィナーレに向けて盛り上がりを見せる一方で、3×3は国内の2大ツアー大会が始動。5月18日からの「3×3.EXE PREMIER(主催:クロススポーツマーケティング株式会社)」に先駆けて、去る4月20日より「JAPAN TOUR(主催:日本バスケットボール協会)」がスタートした。レベル別に、「CHALLENGER」、「OPEN」、「EXTREME」の3カテゴリーで構成され、最高位のEXTREMEは、代表選考や強化の場を兼ねている。さらに今年はシーズンを12月まで拡大させ、ファイナルを2020年1月にセット。東京オリンピックに向けて、この競技の機運を醸成する。

 オープニングラウンドは、立川立飛ドームで開催された。OPEN(4/20)では、日本ランキング7位の齊藤洋介らを擁するUTSUNOMIYA BREX.EXEが圧倒的な力で優勝。EXTREME(4/21)では、TOKYO DIMEの落合知也、小松昌弘、鈴木慶太が3×3の国際大会から深夜1時に帰国して即参戦という、疲労と時差ボケのタフコンディションの中、意地の優勝を勝ち取った。

世界で結果を残すために道を切り開く
 「プロサーキットで結果を残す」―― TOKYO DIMEの3人が異口同音に語る、2019年の大きな目標だ。プロサーキットとは、クラブ世界No.1決定戦である「FIBA 3×3 World Tour FINAL」を頂点として、世界10都市で行われるMasters、その予選会となるChallengerをはじめとしたワールドワイドなツアー大会のこと。彼らは昨年、3×3日本代表を兼ねた『TEAM TOKYO』として海外転戦を経て、自力でMastersの出場権をたぐりよせた。3×3.EXE PREMIERではチームが分かれていたものの、今年は落合をBREXからTOKYO DIMEに迎えて、同じメンツで年間を戦い続ける真の体制を構築し覚悟を決めた。

 シーズン最初の国際大会となったAsia Pacific Super Quest(4/6-7@フィリピン)には、個人ランキング世界41位でセルビア出身のPetar Perunovicを加えて参戦。大会の覇者にはMastersとChallengerの2つの出場権が付与されるビックチャンスを、彼らは全勝優勝でモノにした。特に完全アウェーの決勝では、終盤に13-18と劣勢に立たされながらも我慢を重ねて、小松が20-20の局面から2Pシュートで決勝点をマーク。いつもは冷静な彼が絶叫するほどの勝ちっぷりで、「本当にギリギリでしたけど、勝てて良かったです。久々に燃えました」と自身2度目のビックショットを振り返った。

 実は4人が大会前にそろって練習した日数はわずか3日間。コンビネーションがままならない苦労もあったというが、3×3で経験を積んできた彼らとしては、負けるわけにはいかなかったと鈴木は明かす。「正直、勝たないといけないとは思っていたんですよ。プロサーキットのレベルからは一段下がる大会で、他国の代表も5on5の強力なプロ選手がいるにしても、恐らく3×3慣れしていない選手を招集しているチームが多い印象だった。本当にチャンスだったし、ここでは勝ち切らなければいけなかった」。競技に本気で取り組んできた自負、そして世界と戦うべく自力で道を切り拓く強い意志と実行力が実を結んだ。

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3×3の頂点を争う猛者たちのとの“差”
 しかし、アジアから飛び出せば、まだまだ世界最高峰の壁は高い。Asia Pacific Super Questに続く転戦先となった、Wuxi Challenger(4/18-19@中国)では世界2位のLIMAN(セルビア)、Doha Masters(4/18-19@カタール)では世界1位のNOVI SAD(セルビア)に完敗。試合の入りから攻守にアクセル全開の激しいプレーにさらされ、ミスからイージーに失点。タフショットに追い込まれるなど、ゲームプランを表現する間もなく、大勢を決められてしまった。屈強なフィジカル、高いスキル、4人がよどみなく動く連動性、3×3の頂点を争う猛者たちとの間には大きな差が横たわる。

 では、TOKYO DIMEはどうやって、それを埋めていくのか。選手からまず出た言葉は戦略や戦術云々ではなく、意外にも根本的なこと。どれだけ戦う気持ちを表現できるかということだった。「もっとファイトしないとダメですね。ヨーロッパの選手はすごいタフにやるし、球際やオフボールのディナイのプレッシャーが全然違う。サイズのない僕たちはもっともっと気持ちを全面に出さないと絶対に勝てない。スキルで劣っているので、そこで土俵に立たないと勝負をさせてもらえない」と落合は言及する。

 小松も2017年以来のNOVI SAD戦などを振り返り、精神面の改善を指摘する。「(彼らとは)すごい差ですけど、勝てない差ではない。(海外の)他のチームと対戦しても、競った展開に持ち込めています。ただ僕らは今日(4/21 EXTREME)のTeam Tsukuba 戦(序盤から主導権を握って21-17でKO勝ち)のようなメンタリティをもっと出さないといけないし、それがシュートやリバウンドに乗り移ってくると思う。そういった試合をもっともっと増やしていきたい」と話す。勝負の世界では基本的なことだが、それを体現することは、上の舞台になればなるほど俄然要求される。いまの時期に改めて痛感できたことをポジティブに考えて、どんな相手であれ、目の前一戦で気持ちを全面に出して立ち向かう。

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シーズンは始まったばかり、仕上がったその先に
 現在、TOKYO DIMEのチームランキングは世界14位。約1カ月足らずで5つ順位を浮上させた。3度の国際大会で、優勝と2度のベスト8に食い込んだことや、世界TOP20以内に順位をキープできたことが寄与しており、今月はChengdu Masters(6/1-2@中国)への切符をかけて、Penang Challenger(5/11-12@マレーシア)、Kunshan Challenger(5/18-19@中国)へ出場することを決めている。「こうやってシーズンスパンでプロサーキットを考えることができるようになったことは、フィリピンのQuestで結果を出して、スタートダッシュができたおかげ」(鈴木)と、彼らは今、目標達成に向けて最高の滑り出しを実現した。

 ただ3×3は毎週のように世界のどこかでゲームが開催されている。結果を残し続けなければ、すぐに取り残されてしまう。個々の活動背景やケガの予防、コンディション作りなど、コート外のケアもますます大事になってくる。シーズンはまだ始まったばかり。今年11月には宇都宮でMastersを勝ち抜いた世界TOP12チームによるFINALが待っている。年々レベルが上がり続ける同大会の直近3年を振り返ると、日本人、さらにはアジア人主体のチームさえも、ここに立ってはいない。

 「単純にプロサーキットで勝ちたい気持ち一心で4人はやっています。鈴木と小松は仕事をしながらで、僕も彼らは本当に大変だなと思いますが、Petarも含めて“みんなで支え合う”ことで、良いチームになると思います」(落合)。TOKTO DIMEが強豪とのギャップを埋め、結果を積み重ねた先に、最高峰の舞台に立つ姿はあっていいだろう。