3x3

3×3に「没頭」できた決断と理解者
落合知也、今季最後の世界最高峰へ

2018年10月11日



文:大橋博之/写真提供:FIBA.com、日本バスケットボール協会、3×3.EXE事務局、大塚商会越谷アルファーズ

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©FIBA.COM

3×3に「没頭」した末にランク1位へ返り咲き

 「3×3に100%の力を注ぎたい」――今年はじめに落合知也は大きな選択をして、さまざまなトライの末に、3人制バスケットボールの国内ランキング1位に返り咲いた(10/9時点)。2年後の東京オリンピックで正式種目に採用されたこの競技のパイオニアは、一昨年の世界選手権で大怪我を負って長期離脱を余儀なくされ、ランキングが大幅にダウン。2012年から毎年、出場を続けていた3×3クラブ世界No.1決定戦であるFIBA 3×3 WORLD TOUR MASTERSからも遠ざかったが、昨夏のコート復帰以降は、順調にパフォーマンスを取り戻して、今春よりその歩みを加速。3×3日本代表として、鈴木慶太、小松昌弘、野呂竜比人とともに出場したFIBA 3×3 ASIA CUPでは3位決定戦で決勝点を決めて、銅メダル獲得の原動力になった。さらに、同じメンバーでTEAM TOKYOとして3×3の国際大会を数多く経験するなど、「これだけ3×3に没頭できたシーズンは初めてと思うぐらい、世界にチャレンジさせてもらいました」と充実した日々を送った。

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©2018 3×3.EXE

2020年への決断、信じた道は間違っていなかった

 もっとも、いまの心境に至るのは、本人が強く望み、全力を尽くしたからこそ。さかのぼること今年の2月、彼は所属していた栃木ブレックスに契約解除を申し入れて、3×3をメインにした活動を表明。2020年が明確になったことが後押しになったとはいえ、簡単な決断ではない。彼は当時、「自分が(オリンピックに)出ることはまだ全然保証もないし、確定はないですけど、目指す価値はある。精一杯そのために(取り組み)、お金ではないし、犠牲にするものはある」と、自らの競技力をより一層、上げるべく、腹を決めた。

 そして、それは危機感の裏返しでもあった。世界ランクの1位のNovi Sad(セルビア)を筆頭に、欧州の強豪は年間を通じた活動に励み、継続的な強化でアジアトップへのし上がったUlaanbaatar(モンゴル)など、国際レベルの進化は著しい。

 「本当に毎日、3×3に向き合う生活をしないと手遅れになる」と、残された時間でその距離を少しでもつめるべく、TEAM TOKYOで数々の国際試合へ挑んだ。当初は海外ゲームならではの、インテンシティーの高い攻防に大苦戦したが、幾多の負けを糧に、タフな3×3にアジャスト。9月のFIBA 3×3 ASIA QUEST FINALでは全勝優勝を飾り、念願のWORLD TOUR MASTERSへの切符を獲得した。

 「(継続的なチームとしての)積み上げが大事。そこがやっぱり鍵になって、結果がついてきている。とにかく試合をこなして、海外で戦っていくことが、世界で勝つ一番の近い道」と、信じた道は間違っていなかった。

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@Koshigaya Alphas

古巣・アルファーズは良き理解者

 一方で、現在の国内バスケットボールシーンで3×3をメインとしてプロ活動をすることは難しい。環境面、競技面、収入面などまだまだ発展途上である。そういった状況の中で、彼は今秋よりB3の大塚商会越谷アルファーズに所属する。プロとしての第一歩を踏み出した古巣は、良き理解者であり、2年ぶり復帰の決め手になった。

 「本当にありがたいことだと思っています。正直言って、3×3を最優先させてくれるのが、アルファーズしかなかったし、僕がプロキャリアをスタートさせたのは、ここです。チームのためにやれることがあればやりたい、そう思いながらやっています。主軸は3×3なのでバランスを取りながらも、(5人制も)おろそかにならないように、こっちでプレーするときは、やれる仕事をしっかりやらないくちゃいけない」と、胸の内を明かす。

 アルファーズは今季、初めて「B2昇格」を掲げた。3×3やブレックスで培ったスキルやメンタル、コート内外の経験は、変化に富んだクラブを助ける大きな力になる。

 チームを預かる青野和人ヘッドコーチは、そんな彼のことを「3×3のついでにやっている感じはなく、コミットする力がすごくある」と表現する。開幕4連勝を飾った東京サンレーヴス戦では、チーム最多の8リバウンド。4Qで一時、オンザコート1の時間帯に投入されたとき、コートに立つや否や、豪快に持ち味を発揮して、それを強く印象づけた。「出てすぐにリバウンドを取ってくれた。その1本でチームはまとります。B3は特殊なリーグで完璧な選手がいない分、どうやってパズルをはめていくか。ただのプレーで、数字に残らないかもしれませんが、流れをたぐり寄せる、ゲーム自体を飲み込む楽しみもあるので、コーチとしては楽しませてもらいながらやっています」と、起用に応えた落合のプレーに目を細めた。

 かつて長谷川智也(現・サンロッカーズ渋谷)に連れられてきた彼と出会い、シーズンベスト5に選ばれたNBDL時代以来となる同じチームでの活動。指揮官にとって、彼はプロフェッショナルな選手として、成長して帰ってきた頼もしい存在だ。

「ここで勝ちたい」、今季最初で最後の世界最高峰へ

 落合は今週末(10/13-14)、TEAM TOKYOとして、今季最初で最後のMASTERSであるFIBA 3×3 WORLD TOUR PENANG MASTERSへ出場する。久々の世界最高峰の舞台は、やはり胸が高鳴るようで、「僕自身、テンションの上がり方が違う。やっぱりそこで勝つことが世界にアピールできるチャンスであり、トライの場であり、楽しみです。いま本当に、緊張感というより、ワクワクしている」と言う。

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 今大会は、DAY1の本戦の予選に出場できる12チームのラスト1枠をかけた3チーム総当たりのQualifying Drawから登場ということで、DAY2の決勝トーナメントに進むためには、1日最大4ゲームという相当なタフゲームを強いられる。だが、「本当に掴み取ったチャンスなので、ここで勝ちたい気持ちが強いです」と、総決算の舞台で結果を残す思いは強い。日本人だけで戦ってきたプライドを胸に、欧州の強豪を撃破して、悲願のベスト4、さらにその先へ進む姿を是非とも期待したい。“WORM”の世界へのチャレンジは、アルファーズにとっても大きな励みになる。