3x3

3×3.EXE PREMIER 2018
自分の夢、みんなの夢に共感

2018年08月29日



文:皆人公平/写真提供:湘南SUNS、3×3.EXE事務局湘南SUNS965474

 3×3.EXE PREMIER 2018も残すはMEN’S PLAYOFFSとWOMEN’S WORLD GAMESのみ。初開催の女子は男子に比べて試合数は少なかったものの、2020年東京オリンピックをにらんでレベルの高い熱戦が続いた。そんな女子チームの1つ、SUNS.EXEのGMを務めながら、自らも男子チームの一員としてコートに立ったボーラーがいた。

プレーヤー兼GMの二刀流!?ユニークなキャリアの持ち主
 及川啓史はTOKYOWINGS.EXEのプレーヤーにして、SUNS.EXE(湘南SUNS)のGMを務めている。出身は宮城県仙台市で、本格的にバスケに取り組んだのは県立気仙沼高校に入学してからのこと。強豪校ではなかったが、将来の夢として漠然と「プロバスケット選手」をイメージしていたという。

 「高校は県でベスト16ぐらい。もっとバスケが上手くなりたいと思い、いろいろ自分で調べてオクラホマ州にあるノースイースタン州立大に留学しました。2年次の冬休み中に帰国した時、東日本大震災が発生。実家も祖母の家も全損し、とてもアメリカに戻れる状況じゃなかった。そのまま休学し、いろんなモチベーションでバスケのプロになろうと思ったんです」

 その年、岩手ビッグブルズ(bjリーグ)の練習生になり、翌年、プロ契約に必要な合同トライアウトを受けるつもりだった。が、その前日にリンク栃木ブレックス(現栃木ブレックス)のトライアウトがあるとわかり会場へ。すると、トライアウト終了直後に契約の打診を受け、即決した。プロとして第一歩を踏み出したのだ(栃木下部のTGI D-RISEの契約選手となる)。ところが、実感したのがモチベーションの違い。

 「『プロになろう』という気持ちは漠然としたものだったと思います。被災したことでボランティアの方々と触れ合い、多くの方が支援してくださる光景を目の当たりにし、“自分に何ができる?”って考えた結果、バスケしかなかった。まったく無名の選手が頑張ってプロになれば、少しでも子どもたちを勇気づけられる、自分なりの支援になるんじゃないか、というのが根っこにありました」

 そして飛び込んだプロの世界。「“誰かのために……”そう思ってバスケをやっていたんだと思います」と、当時をふり返る。が、チームメイトはその前に、自分のために頑張っていた。

 「当然ですよね、プロとして一人前になってこそ影響力が持てる。まだスタートラインに立っただけなのに……自分はプロになることがゴールだったから、モチベーションの違いに戸惑ったというか、ここに俺は居ていいのか、と思ってしまいました。(田臥)勇太さんや(川村)卓也さんのプレーを見て、自分がそのレベルに行くのは正直ムリだと感じました。あのレベルに達するまでに必要な練習量も熱量も自分にはないなって。当時のプロの年棒はピンキリだったので、実力が伴わない自分にはハイリスクローリターンで。バスケは人生の一部だけど、人生全てがバスケじゃないって思い5人制を引退しました」

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新たな展開を生み出すバスケのネットワーク
 プロ選手としての契約は終えたが、バスケでつないだネットワークが広がりを見せることになる。大手スポーツブランドでビジネスパーソンとしてキャリアを磨き、現在はスポーツアパレルを取り扱う企業の日本法人、株式会社トレス(TRES JAPAN)に籍を置く。

 「ANDY(安藤正彦:YOKOHAMA CITY .EXEオーナー)から『面白い会社が人材を探しているよ』と聞いて、転職を決めました。いわゆる中堅企業ですが、組織と自分の意思決定が直結していて、スピード感をもってやりたいことができる。バスケに関わる仕事をしながらプロの時とは違った角度でバスケットボールと向き合えるようになりました。ストリートボールを通して3×3を知ったのもこの頃です」

 3×3.EXEのスタートは3年前、YOKOHAMA CITY .EXEから。ところが、実力不足もあり途中でロスターから外れ、チームから放出。

 「その頃のPREMIERはドラフトがあって、(後半戦が始まる前)SUNS.EXEのオーナー石田(剛規)さんがドッキリのつもりだったのか、内緒で僕を指名したんです。誰が選ばれるんだろう、なんて仕事中にボーっとライブ配信を見ていたら『SUNS.EXE、及川啓史』……“ええっ!?”って。嬉しかったですよ(笑)。それに、今の会社に籍を置いていたので、自分の仕事に関連づけようと思い、アパレルをサポートする契約選手の制度を立ち上げることにして、契約第1号は僕自身。他の選手とも契約を結び、3×3で露出が増えれば増えるほど、自分も会社もポジティブになる状況をつくりました」

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 今シーズンの3×3.EXE PREMIERではプレーヤーとしてTOKYO WINGS.EXEのロスター入りを果たした。女子チームSUNS.EXEのGMも務める。

 「これは石田さんの考えでみんなが共有していますが、それぞれが“湘南SUNSを上手く活用してほしい”ということ。湘南SUNSはお陰様で人気がありますし、大勢のファンに支援や応援をいただいていますが、“石田さんの人柄なんだなぁ”と感じながらSUNSの活動に没頭しています。僕が損得感情なしで動いているのはすごく珍しいと思います(笑)。でも、それくらい魅力的なチームです。WINGSのみんなも自分が湘南SUNSの“KC”ということは理解してくれていて、双方の活動においていろいろフォローしてもらっています。つくづく人脈に恵まれているなと思います」

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 漠然とプロを目指した頃と比べ、自分の気持ちや置かれた状況は変わった。が、その時々に支えられたのは、バスケを通してつながったネットワークであり、少しの運にも助けられた。

 「“湘南”の名の通り、ほんわかしたいい雰囲気。女子チームはPREMIERの前からスタートしました。依頼があって子どもたちに不定期でクリニックを行っているんですが、女性コーチが必要だと思っていた矢先、『富士通を退団して元気があり余っている子がいるよ』と紹介されたのが小沼めぐみ(#0)。彼女は『5人制でも3人制もいいのでバスケがしたい』と言っていました」

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 「桂葵(#25:早稲田大でインカレMVP、アンダーカテゴリーの女子日本代表)とは以前から連絡を取り合っていて、同じタイミングで『3×3を本気でやりたい』と言われ、これならチームがつくれると。その後、本田雅衣(#14:元JX-ENEOS)が入社してくるなど、チームをつくるピースが揃ってきた。その時は『3×3.EXE TOURNAMENTで日本一になろう』というのが目標。ちなみに根岸夢(#9)は大学の先輩、葵に騙されてチーム入りしています(笑)」

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 3x3がオリンピックの正式種目に決まり、3×3.EXE PERMIERの女子カテゴリーがスタートしたのは今シーズンから。

 「タイミングは最高(笑)。PREMIERありきでスタートしたわけではなく、その前から練習していたので、強みがあるとすれば一緒に過ごしてきた時間が長いということ。GMという肩書で活動ができ、面白くなってきました。オリンピックはもっと若い世代に頑張ってほしいし、それを支えるために3×3の状況を良くしていきたい。3×3に関わる1人として、その使命感はあります。できれば、女子日本代表にSUNSから選ばれてほしいですね。バスケはまた新たな展開が見えていますから、もっとアンテナの感度を上げてしっかり取り組もうと思っています」

3×3.EXE PREMIER オフィシャルサイト ⇒ http://www.3x3exe.com/premier/

MEN’S PLAYOFFS & WOMEN’S WORLD GAMES
9月15日(土)、16日(日)@大森ベルポート(東京都品川区)