大型補強による産みの苦しみにある群馬
チームのまとめ役を担う小淵雅の決意

2020年10月16日



文:川西祐介/写真:B.LEAGUE 

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 今季も群馬クレインサンダーズと仙台89ERS、茨城ロボッツがリードすると見られているB2東地区。この3クラブの中でも、帰化選手や外国籍選手も含めると、大量8選手をB1クラブから獲得した群馬の前評判は高い。

 そして群馬は、開幕節でホームに茨城を迎え、見事連勝を飾った。地区内ライバルの出鼻をくじいた格好だ。

 しかし、続く第2節は、こちらも出戻りの長谷川智也や、アイザック・バッツら、B1クラブから補強があり、東地区の台風の目になると期待される越谷アルファーズに連敗。ロスターが大きく変わったがゆえの、チーム構築の遅れが原因となった。連敗後の記者会見で平岡富士貴HCも、「まだまだチームとして未完成な部分がたくさんある。ここからチームを作り直していきたい」と、チームの現状を認めた。

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 チーム作りに遅れが出てしまう点には、やはり新型コロナウイルスの影響もあった。これはどのチームも等しく影響を受けるものではあるが、群馬の場合は、秋田ノーザンハピネッツから加入のジャスティン・キーナンと、以前千葉ジェッツに在籍していたトレイ・ジョーンズが越谷戦で初めてコートに立つことができたのだ。

 越谷とのゲーム1、平岡HCは、茨城戦のスターターから古牧昌也に代えてジョーンズを先発させ、マイケル・パーカーとブライアン・クウェリを含めたビッグラインナップを試した。パーカーとジョーンズが千葉で同僚だったことも考慮されたと思うが、この試合ではあまりいい流れにはならず、そのため、ゲーム2では古牧をスタートに戻した。この変更については、「ビッグラインナップにするとボールも人も動かず、少し重いなと感じたので」と平岡HCは理由を話した。

 こうしたチーム状況にあって、チームの力になってくれるのが、地元群馬出身の小淵雅だろう。2013-14シーズンからチームに在籍する小淵は、今季の4試合を含め、この3シーズン連続で出場試合すべてでスターターと、平岡HCの信頼も厚い。

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 その小淵は、「意見を発する人間は多いんですけど、それがなかなかまとまれていない。新しく加入した選手が多く、彼らもやはりプロですから自分を強く持っている。フラットな話し合いができていない」と、今のチームの問題点にコミュニケーション不足を挙げた。大型補強と新型コロナウイルスという、チーム作りを難しくさせる要素がそろった影響が出ているのだろう。

 では、これから強い群馬になるためには、何が必要なのかを訊くと、「ウチのチームはホントにたいした選手がいない中、泥臭くやることでなんとか勝ってきたチーム。その泥臭さがいまはなくなってしまっている。でも、新しく来てくれた選手と、既存の選手がそろって泥臭くできれば、それでやっと平岡HCのバスケットができるんじゃないかなと思っています」と、上を向いている。

 もちろん今のチームが持っている底力への期待は大きく、「せっかく集まった仲間。今より良くなるためには、まずはしっかりと練習に取り組むこと。それを一番大事にしたいです。その中で、もしも仲間の誰かがチームから心が離れそうな時があっても、しっかりと引き込みたい」という言葉からは、このメンバーで強くなりたいという思いが伝わってきた。

 その中にあって、「練習中だったりミーティングだったり、自分の思ったことを伝えて、仲間の成長の助けになりたいです。今の群馬にはプライドを持った選手がたくさんいる。これをまとめるのも僕の仕事だと思っています」と、ベテランとしてチームを引っ張るという、気持ちの強い言葉を聞かせてくれた。

 長く群馬に在籍する小淵が、新規加入組に群馬らしい泥臭ささを伝え、チームが一体になったその時、群馬がB2の優勝争いに絡んでいるのは間違いない。

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