アースフレンズ東京Z 綿貫瞬
自らのバスケストーリーの新章へ

2020年10月07日



文:川西祐介/写真:B.LEAGUE

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 102日、Bリーグの2020-21シーズンが始まった。新型コロナウイルスの影響で、昨シーズンが途中終了してから、長く特別なオフがようやく明けた。まだ気を抜けない状況ではあるが、リーグの新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインに準じて、リーグ、クラブ、選手、ファンが一体となることで、新シーズンが開幕できたことが素直に嬉しい。

 アースフレンズ東京Z2日にホーム開幕を迎えたクラブの1つだ。東京Zは、オフの間にエース増子匠、司令塔の柏倉哲平、チームの顔でもあった高山師門らがチームを離れたこともあり、ロスターに変化があった。

 その変化のひとつが、綿貫瞬の加入だ。先の3人が抜け、若手ばかりになってしまったロスターに、経験が必要とフロントが判断したことは想像に難くない。そんな、来月33歳を迎えるベテランは、すでに若いチームに好影響をもたらしている。

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 3日の越谷アルファーズとの開幕2試合目を終えた後の会見で東頭俊典HCは、綿貫と同じくベテランで、かつ同じ京都ハンナリーズから加入した岡田優介を含め、ベテラン2人の加入がチームにもたらしたものについて、「僕がやってほしいと伝えたことに対するレスポンスがいい。リバウンドが弱いからと頼めばとってきてくれる」と、その作戦遂行力の高さを評価した。

 練習での存在感については、「この練習の目的はコレですと僕が言えば、それに対して責任感を持って積極的に関わってきてくれます。これまでは僕の言ったことに対して、若い選手はついてくるのが精一杯ということもあったけど、あの二人は一歩上にくる。『この場合はどうしますか?この場合はこうしていいですよね?』というように、僕の意図を読み取って、その上のレベルを僕にも、若手にも要求してくれる。こうやってチームは作られていくんだということが、若手もわかりはじめてきたと思います。とてつもない影響を与えてくれています」と、その貢献の高さを話してくれ、「あの二人を中心にいいチームになると思います」と期待を表していた。

 そんな綿貫は、どんな思いで東京Zに加わったのだろうか。

 綿貫は、2010年に神奈川大学を卒業し、JBL2の石川ブルースパークスに入団。その後、bjリーグとBリーグを通して、大阪エヴェッサと京都ハンナリーズで、司令塔としてプレー。そしてこのオフ、東京Zへと移籍してきた。

 しかし、当初は引退も視野にあったという。引退後のキャリアについてもほぼ話が進んでいたが、そこにも新型コロナウイルスが影響し、その話もいったん白紙に戻った。それから再び、これからのバスケキャリアで何がしたいかを考え、出した結論が東京Zへの移籍だった。

 「自分のバスケキャリアを振り返った時に、高校生の時は、普通の公立高校で全国大会に出場して、大学も(関東)3部から2部に上げた経験があって。そう考えると、B1のクラブからのオファーももらいましたけど、今回は違うかもしれないと思ったんです。そして、先ほど言った経験に照らし合わせると、B2でも苦しんでいる東京Zを強くして、B1に上げて終わりたい、というバスケストーリーが自分の中で生まれました」

 B1クラブからもオファーがあった中、B2クラブへの移籍という決断については、「やっぱり、B1からB2に来て、環境面では大変ですね。でも、目標・課題がある。そういうモチベーションができたことが嬉しいし、試合にも出られている。楽しくやっています」と、新しい挑戦を楽しんでいる。

 楽しいと感じるのは、京都から同じく加入した岡田の存在も大きい。「入ってみて、チーム状況を見た時に、優介さんに状況を伝えて、『一緒にやりましょう』って言ったら来てくれて嬉しかったですね」と笑顔を見せてくれた。

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 もちろん、今シーズンのチーム作りにも積極的に貢献している。先ほど、練習でのベテランの好影響について、東頭HCの言葉を紹介したが、綿貫自身は、「若い選手は、経験がない分、東頭さんの指示を、押し付けられていると感じてしまうこともあるかもしれません。でも、僕と優介さんが、指示に率先して行動する姿を見せれば、東頭さんの言うことがやっぱり正しいんだって、若手も納得する」と、チーム作りにおいての、東頭HCとの役割分担、相乗効果について話した。

 さらに、B1でつちかったものを、どんな風に東京Zにもたらしたいかを訊くと、まず若手選手に対して、「どんな時も真摯にバスケに向き合うことが大事。若い選手にはそれこそが基盤になると、プロとして伝えたいです」と話してくれ、さらにクラブに対しても、「フロントに対してもB1に上がるクラブとはこうだよって、言うべきところは言います。これから勝っていきたい、となった時に、獲得したい選手が東京Zに魅力を感じて、来てくれるように、環境を整えていきたい。そういうところまで考えて、発言していきたいです」と、責任を持ってクラブの成長に貢献する意気込みを見せた。

 今のチーム状況は、「僕と優介さんは遅れて合流した分、まだコンディションは60%の仕上がりなので、これが上がってくればもっと質はよくなると思います。若い選手たちも、ハードに練習している。ホントに素直な選手ばかりなので、練習を重ね、試合を重ねていけば経験もどんどん積んで、成長していくはずです。チームのムードはむちゃくちゃいい」と、これからが楽しみな状況にあるという。

 最後に今シーズンにかける思いを訊くと、「とにかく勝って結果を出したい。負ける気がしない。そのためにも、まずはしっかりとチームの基盤をつくっていきたい」と力強い言葉が出てきた。

 東京ZB1に引き上げるという、綿貫のバスケストーリーは、どんな結末を迎えるのか。ハッピーエンドを期待して、ストーリーを追い続けたい。

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