三遠の超高校級プレーヤー”河村勇輝”
ホーム千葉戦で鮮烈デビュー

2020年01月27日



文:川西祐介/写真:B.LEAGUE

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 1月25日、三遠ネオフェニックスに特別指定選手として入団した河村勇輝が、ホームの千葉ジェッツ戦でデビューした。豊橋市総合体育館には、この“高校生Bリーガー”のプレーを見ようと、3,036人のブースターが集まった。

 河村の注目のコートインは、1Q残り3分41秒。天皇杯2次ラウンド以来となる、富樫勇樹とのマッチアップの再現に、会場からは期待の声援があがった。スターティングPGは鈴木達也だったが、アクシデントのため開始1分31秒で寺園脩斗に交代、河村はその寺園から司令塔のバトンを受け継いだ。

ブースターの目をすぐに釘付けにしたスター性
 鈴木のアクシデントがなければ、出番はもう少し遅いと本人は考えていたかもしれないが、出る準備はいつでもできていた。コートに飛び出して、わずか9秒で3Pシュートを放つ。この強気とも思えるプレーを、“空いたから打っただけ”というように、若くとも平然とできることが、スタープレーヤーの証なのかもしれない。

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 初得点は、残り46秒で得たフリースロー。2本確実に決めた。そして、最も会場を沸かせたのが、太田敦也がスティールしたボールを受け、コートを一気にドリブルで駆け抜けてのブザービーターレイアップを決めた瞬間だ。試合後に河村は、「スピードは通用した」とコメントしたが、追いすがるディフェンスを振り切ってのシュートは、その言葉を裏付けるものだった。

 2点を追う2Qも、開始から河村が魅せる。ヴィアチェスラフ・クラフツォフとのピック&ロールからアシストを決めたかと思えば、千葉の藤永佳昭からスティール。たまらずといった表情の藤永からアンスポーツマンライクファウルを受けると、フリースローを再び2本決め、同点に。さらにジャンプシュートを決めて、ついに逆転までチームを導いた。一時ベンチに退く際には、会場から労いの拍手が起こった。

 残り3分46秒で再びコートに入ると、クラフツォフへ2本アシストを通すなど、三遠のオフェンスを牽引。チームがリードしてハーフタイムを迎えられたのは、間違いなく河村の貢献があったからだ。前半はおよそ9分のプレータイムで8得点、3アシスト、1スティールを記録した。

 河村は、後半も13分ほどのプレータイムを得たが、前半のうちに相手センターとの接触があって、脚に違和感を抱いたこともあり、数字を伸ばすことはできずじまい。チームも逆転負けを喫してしまった。それでも会場の雰囲気は暗くならず、この先の活躍に期待する声がブースターから聞かれたのは、やはりこの日の河村のプレーに魅了された人が多くいたからだろう。

河村のプレーぶりにワクワクさせられた富樫勇樹
 試合後の会見で、マッチアップした富樫は、「高校とプロでは同じバスケットとはいえ、少しやり方は変わるもの。その中で彼がどれくらいプレーできるか楽しみにしていました。前半、彼が入ることで明らかに三遠の勢いが増しましたし、チームをしっかり動かしていて、高校生には見えませんでしたね。スピードはもちろんですが、パスセンス、コートビジョンに素晴らしいものを持っているなと思いました。相手(三遠)のシュートが決まらないというのはありましたけど、的確なパスを出していて、バスケットIQの高さをすごく感じました」と、河村を評価した。

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 バスケットIQの高さは、三遠の河内修斗HCの「プレーブックを渡した翌日には、すべて覚えてきていました」というコメントからも伺えた。これについて河村は、「ポイントガードとして、試合中にフォーメーションの指示を出さないといけないので、1日で全部覚えました」と、あたり前のこととして捉えていた姿勢が素晴らしい。

 河内HCは、「ベンチでもまん中に座り、チームメイトや僕とコミュニケーションを積極的にとっている。チームのPGだという覚悟を持って試合に臨んでいることを感じます。僕も彼を高校生ではなく、一人のプロ選手として見ています」と評価した。また、河村がチームにもたらした好影響については、「バスケが速くなりました。ディフェンス面でも前からプレッシャーをかけてくれる」とし、「今後も今日と同じくらいのプレータイムを与えることになるかもしれない」と期待を口にした。

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 河村本人はデビュー戦について、「率直にすごく嬉しかったです。これが始まりだと思いました。自分にとって節目となる大事な試合でしたが、緊張することなく入ることができました。鈴木達也さんの分までポイントガードの仕事をしようと思っていたのですが、ターンオーバーも多く、チームも負けてしまったので、この試合をひとつの経験として反省し、これからの試合につなげていきたいです」と振り返った。

「僕が入っての試合というのは、チームメイトにとっても初めてです。だから、パスとかいろんなプレーのリズム、感覚というのがマッチしていないのは仕方がない。ただ、今日そういう部分を伝えられたと思うので、これからしっかりとアジャストしていきたいと思っています。
 それと、高校生と違って、ボールを持っていない時に体力を削がれることがわかり、体力を維持する難しさを学ぶことができました。この部分についてもしっかり慣れて、チームの勝利に貢献できるようになりたいです」と細かな部分まで、反省を忘れなかった。

 ブースターの存在や、この日の盛り上がりの大きさに話が及ぶと、「応援してくださっているブースターの皆さんには、やっぱり勝つことが一番の恩返しだと思っているので、なるべく早く勝利を届けたいです」と、感謝と意気込みみを語った。

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すべてのバスケファンの予想を上回るプレーヤーへ
 翌日の試合、脚の違和感の影響が心配されたが、それを覆す活躍を見せた河村。チームハイの21点を叩き出した。しかし、ターンオーバーが6つ、チームも千葉に連敗。本人はまったく満足せず、さらなる成長を期したことだろう。

 超高校級の河村は、プロでも通用することを見せつけた。今後どこまで成長し、どんなプレーヤーになるのか、その可能性は無限大。すべてのバスケファンが見守り、送り続ける声援をエネルギーに変えて飛躍していくはずだ。

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