ビーコルの永久欠番
元チームメイトが語った溢れる想い(後編)

2020年01月10日



文:大橋裕之/写真:©B-CORSAIRS/T.SASAKI(2012-13シーズン)、©B-CORSAIRS/T.Osawa

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※前編より続く

実はムードメーカーで気さくなシューター
 一方で、蒲谷の第一印象はやや強面であるが、実際のところはムードメーカー。ときに後輩と同じ目線でボールを追いかけ、誰に対してもアドバイスを惜しまない姿があった。

 三菱電機、横浜、信州と3クラブでチームメイトになり、私生活でも親交の深い佐藤は次のように語る。

 「僕は彼がおったから、ビーコルもそうですけど、まだこうやって信州で現役を続けている。昨シーズン、信州に来たときは僕が最初にオファーをもらって、カバを呼んでようやく来てくれることになり、精神的にとても助けられました。信州のチームメイトも、カバの存在を知っているけど、どういう人かわからへん、噂でしか聞いたことがない。見た目もあんな感じで怖い印象やけど(笑)、すごくムードメーカーやったし、良いお兄ちゃんみたいで面白い、チームの盛り上げ役みたいになってくれました。同じベテランやけど、オレも頼っていた部分がありましたね」。腹を割って話せる友は、どこに行ってもその輪の中心となり、チームになくてはならない存在であった。

&佐藤 大澤

 またポジションが同じだった岩田はビーコル時代に1on1の相手をしてくれたと明かす。「毎回の練習後に1対1をしてくれました。当時、蒲谷さん、喜久山(貴一)選手(現福島ファイヤーボンズ)、僕で1時間から1時間半ぐらい、ずっとやってて、『負けたらジュース』って。いっつも負けてましたね、勝てなかったです……。でも2年目になってたまに勝ったので嬉しくなって、蒲谷さんにドヤ顔したら、『今日は負けてやったぞ』って(笑)」。

 岩田はビーコルから移籍したあと、公式戦で蒲谷と対戦することなく、「いつかちゃんと負かしたい」という思いまでは叶わなかったという。しかし、山形で彼は3Pシュート成功数が現在チーム2位を記録。奮闘を続けるその姿はしっかりと先輩にも届いているだろう。

&岩田 大澤

 そして川村もまた蒲谷と同じポジションだった。ベンチでは彼と蒲谷がよく隣に並んでいる光景があり、先発で川村、その交代で蒲谷というシーンも数え切れないほど。試合中には幾度も的確なアドバイスをもらったと言う。2016-17シーズンに残留プレーオフ1回戦の秋田戦GAME3で劇的勝利を収めたブザービーターを彼が決めた直後、真っ先に駆け寄ったのは蒲谷だったことも思い起こされる。

 「もしかしたら僕が横浜に加わったことで彼のプレータイムが減って、もしかしたら良い思いはしていなかったなと思うのですが、その中でも自分のために、チームのために助言をくれて、本当になんて言うのかな、その時その時で、自分の中で助けになった言葉がありましたね」。クラブの歴史を紡いできたエースシューターの系譜が、そこには確実にあったことを物語っている。

レジェンドたちに送る言葉
 多くの選手たちに影響を与え、ビーコルをけん引してきたレジェンドたち。もうネイビーカラーのユニフォーム姿を見ることはないが、山田は周知の通り、ビーコルのチーム編成・強化担当兼アシスタントコーチを務め、蒲谷も第二のキャリアを歩んでいる。今回、話を聞いた選手たちの言葉には、これまでの感謝の気持ちや前途を期待するエールが詰まっていた。これらは、恐らくブースター、ファンも同じ想いだろう。

 「もうちょっとコートで対戦したり、同じチームでやれたらいいな、また一緒にやれたらいいなと思ってました。変わらず今でも連絡をくれます。“試合を見てたぞ”とか、ありがたいですし、感謝しています」(岩田)

 「すごく面倒見の良い方たちで、よく食事に連れていってもらったり、バスケ以外でも精神的に支えてもらっていました。本当に2人には感謝しきれないです」(河野)

&河野 大澤

 「個人的にはもうちょっとやって欲しかったと思いますけど、2人とも次の道が決まっているので、応援したいと思います」(佐藤)

 「まずはお疲れ様でしたと、彼らには言いたい。あとは素晴らしい経験をさせてもらって、素晴らしい姿勢、あるべき姿を見せてもらって、本当に感謝しています。これから僕はいろんな形で(後輩たちにその経験を)伝えていきますと、(2人には)伝えたいですね」(川村)

&田渡 大澤

 そして「横浜を大好きで、これまでやってきた2人なので、その想いは僕もいま、すごい持っています」という田渡は感謝というより“決意表明”を語った。

 「勝って、僕が成長してやっと恩返しができると思っています。プレーヤーとして、チームの一員として、人間として、成長した姿を見せられることが一番。蒲谷さんは昨日(昨年12/27)も連絡を頂いて、川村さんが(移籍後初めての)横浜での凱旋試合(12/28-29)だったので、『タクに負けるな』ということを連絡してきてくれました。そういう強い気持ちを持った、ファイティングスピリッツを持った人たちだったので、それを見せて、どれだけ僕がやっているかということを自信を持って頑張りたい。ありがとうございましたというより、見ていて欲しいですね。態度で示していかないと」

 

 7シーズンに渡り、横浜ビー・コルセアーズを背負って戦い抜いたケンジとカバ。ともに戦った選手たちには、彼らの言葉が深く伝わり、その姿は確かな記憶として残っている。新たな舞台、役割で活躍している2人、さらにはそれを受け継いだ元チームメイトのさらなる飛躍。乗っている船は変われど、海賊たちの大いなる航海はこれからも無限に続いていく。

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