試合の流れを巧みにコントロール
奈良の司令塔、横江豊

2019年11月16日



文:川西祐介/写真:B.LEAGUE

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 バンビシャス奈良が東京エクセレンスとの第9節第2戦で98点を奪い、アウェーでの貴重な1勝をものにした。

 この試合、奈良は東京EXのオフェンスの起点であり、得点源である外国籍選手の2人、ライアン・ステファンとジョーダン・フェイゾンにダブルチームでのディフェンスを徹底。東京EXから13のターンオーバーを誘い、そのミスから22点を挙げた。

 奈良のターンオーバーは4つ。さらにアンドリュー・フィッツジェラルドがフリースロー10本をすべて成功させたのを筆頭に、チームとして29本中26本を決めるなど、ミスを抑えることで勝利につなげた。

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試合の流れを読み、チームを勝利に導く
 会心の試合運びだったが、それでも中地区で上位争いをしている東京EXに接戦に持ち込まれたのも事実。この接戦をものにできた要因は、ポイントガード横江豊のゲームコントロールにあった。

 4Q残り3分を切って東京EXが4点差まで詰めてきた場面で、横江はミドルシュートとフリースロー2本を冷静に決め、リードを8点まで広げる。その後ファウルゲームに持ち込まれても、ボールを失うことなく、しっかりと試合をクローズしてみせたのだ。

 奈良のクリストファー・トーマスヘッドコーチが、「ゲームの流れをコントロールできるPGである、ヨコ(横江)を完全に信頼しています。彼の良いところは、プレッシャーがかかる場面でも、それを問題としないこと。我々の勝敗の大きなウエイトを彼が占めていると思います」と話した通りの結果を、この日は残したと言える。

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 東京EXの石田剛規HCも「ディフェンスのローテーションのところで、ボールマンにプレッシャーをかけていきたいところを、横江選手に上手にコントロールされてしまい、プレッシャーをかけ続けられませんでした。うちの若いPG陣に学んでもらいたいプレーでした」と、横江のゲームコントロールを敗因のひとつとして挙げた。

 横江は、「4Q残り5分をチーム全体で強くプレーできたことが良かったと思います。気持ちを強く持つこと、オフェンスもディフェンスも誰かに任せるのではなく、選手それぞれが得点する、守るという意識、気持ちを持つことができたのが、接戦を勝てた理由だと思います」と、試合を決めた場面を振り返った。横江自身がこうした気持ちを持って試合に臨んでいたからこそ、4Q終盤での冷静なプレーにつながったのだ。

 ここまで強い気持ちでプレーできたきっかけは、前節の広島ドラゴンフライズとの第2戦にあったという。この試合で奈良は、4Q序盤の9点のリードを守りきることができなかったどころか、終わってみれば逆に13点差をつけられ敗れた。横江は、「ウチは4Q残り5分になると、弱気なプレーをしてしまうことが続いていました。それをとくに痛感したのが、先週の広島戦です。広島戦後の1週間の練習で、コーチから『試合残り5分を強くプレーできるように、意識改革しろ』と言われ続け、それを全員が遂行できた結果が今日の勝利につながりました」と、失敗から学んだ成果を強調した。

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チームでステップアップし、巻き返しを狙う
 こうした緊迫した場面で、チームがまとまってプレーできるように、PGとして何に気をつけているのかを訊くと、「コーチとは試合中も試合後もコミュニケーションをとり、指示以上のことをやろうと常に心がけています。コーチが本多(純平)さんや西(裕太郎)など他の選手に出している指示も聞くようにして、自分が手助けできるところはやろうと考えながらプレーしています」との答えが返ってきた。

 味方の動きや、試合の流れを見ながらゲームをコントロールする。こうした横江のプレーを、トーマスHCは「ヨコはクルマ(チーム)の鍵。彼がクルマを運転する時、それがウチのやりたいプレーになります」と例え、信頼を示した。

 最後に横江は、「今日の試合は、自分たちがステップアップできて勝てたことがなによりの自信になりました。その相手が素晴らしいチームである東京EXだったということが、さらに自信につながると思います」と、司令塔らしく、チームの成長を喜んだ。

 手痛い失敗から学び、成長することで得た自信を糧に、リーグ戦中盤以降の巻き返しなるか。奈良の戦いに注目したい。

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