“伊佐流”の全員バスケで好スタート!
東地区をリードするサンロッカーズ渋谷

2019年10月30日



文:hangtime編集部/写真:B.LEAGUE

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 今シーズンの開幕戦、千葉ジェッツをホームに迎えたサンロッカーズ渋谷は88‐80で勝利を収め、続く第2戦にも勝って連勝し、好スタートを切った。その後も3連勝するなど、10月を終えた時点で6勝2敗、ゲーム差なしの東地区2位をキープしている。

 好調の要因は大幅なロスター変更が奏功したこと。関野剛平と野口大介がレバンガ北海道から、渡辺竜之佑が新潟アルビレックスBBから移籍してきた。三遠ネオフェニックスから田渡修人が加入した他、千葉ジェッツからは石井講祐の獲得に成功。外国籍選手もセバスチャン・サイズ、チャールズ・ジャクソンを加えるなど、顔ぶれはガラリと変わった。

 これは、指揮を執る伊佐勉ヘッドコーチが目指す、“全員バスケット”=みんなで走って、みんなで守って、みんなで得点するというスタイルを実現するため。昨シーズンは途中からのヘッドコーチ昇格で難しい采配になったが、今シーズンは「伊佐カラー」を前面に出して挑んでいく。「全員バスケ」を遂行するにはタイムシェアは不可欠だ。選手の個性を見極め、役割を徹底し、信頼してコートに送り出すことになる。かつて、琉球ゴールデンキングスを率いた伊佐HCは、5人を一度に交代させることもあった。短期間でのチーム作りには、そんな“伊佐流”を理解する選手が必要となる。

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師弟関係の阿吽の呼吸
 そこで頼りになるのが山内盛久の存在。伊佐HCと同じ沖縄出身で興南高校の後輩でもある。山内自身、プロのキャリアを琉球でスタートしたが、そこには常に伊佐先輩の姿があった。

 10月最後のホームゲームは川崎ブレイブサンダースとの対戦で、1戦目を74‐81で落とした後の2戦目だった。1Qを終えて16‐22と嫌なムードが漂っていたが、2Qに入り追撃ムードを作った1人が山内だ。このクォーターを28‐12として逆転すると、その後も勢いを保ったまま91‐71で勝利した。

 試合後、山内は「昨日の試合は、入りから相手のエナジーに自分たちが背を向けた形になりました。今日は相手がやってきたぐらいのエナジーで臨まなければならないとチームで話をし、それをやり続けた結果です。アグレッシブに行けたと思います」とコメント。

 新しくなったチームにあって、求められている役割や意識の変化などを聞かれた山内はこう答えた。
 「これまでは若手扱いでしたが、今は自分のミスひとつでチームの勢いが落ちてしまうことがあります。ミスをなくし、さらに勢いづけられるよう常に心がけています。先日の宇都宮ブレックス戦(81‐91)では、相手のプレッシャーがきついところでアタックしていくプレーを心掛けました。伊佐HCが『宇都宮戦の盛久みたいにどんどんアタックしていけばいいよ』と伝えていたので、自分が意識していたことをプレーで見せられたと思っています」

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 伊佐HCとの付き合いが長く、良き理解者という立場がわかっている。
 「昨シーズンは途中で(ヘッドコーチに)なったので、やりたいバスケができたわけではないと思います。今シーズンは一から自分のチームにしたいとチームを作り上げ、外国籍選手もやりたいバスケに合う選手を加入させました。琉球の時からそうですけど、全員で戦うというのが伊佐HCのスタイル。上手くいかなくなった時に少しずつズレが生じてくると思いますから、そこは自分がわかっているので、チームに対して良いコミュニケーションを取って役目を果たしたいと思います」

 伊佐HCも山内の存在を頼もしく感じているようだ。
 「心強いですね。渡辺もそうですが沖縄出身というのもありますし、山内は高校の後輩で、高校時代から知っています。私がやりたいことを代弁してくれているところもあるんじゃないでしょうか。チームがおかしい時にはボソッと、『こういう状況になっています』と伝えてくれます。こうしましょう、このほうがいいです、ということは決して言いませんが、なかなか私のところに届かないこともありますし、私がわからないこともありますから」

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上位チームとの対戦にワクワク
 ここまでの成績(6勝2敗)について聞かれた山内は、高ぶる気持ちをこう表現した。
 「一つひとつの勝ち試合で充実感が違っています。誰か1人が点を取って勝ったわけではないし、みんなで守って、みんなで得点しての勝利です。やっていて楽しいし、充実感が凄い。チャンピオンのアルバルク東京を始め、これから上位チームと対戦した時にどれだけ通用するのかワクワクします。スカウティングされたり、研究されたりする中で、チームとしてどれだけやれるのか、本当に楽しみです。どれだけ上を目指せるのか、チーム全体で突っ走りたいと思います」

 今のSR渋谷は一体感が高まっており、チームはもちろんスタッフやアリーナ全体の雰囲気に“熱”がこもっている。若手扱いではなくなった自分の役割として、自ら発信者となる立場を強調する山内は、「そうですね、負けているとベンチが沈んでしまうことがあるので、これからはそういうこともなくしたい。若手は発言しづらいと思いますから、田渡もそうですが、ノリのいいキャラというか、僕らが発言することでムードを盛り上げたいんです。そうなれば若手も発言しやすくなると思いますから、そこは率先してこの2人がやっていけたらなと思います」

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 チームの潤滑油を自認する山内に対して、伊佐HCはプレー面の貢献にも評価を忘れない。
 「点を取る意識が戻っています。複数のガード陣がいますから、彼には『コントロールはしなくていいから、点を取りに行け』と指示しています。琉球時代もメンバー構成上PGにしましたが、もともとは2番(SG)、点取り屋なんです。そう言う意味では、1番でありながら点を取る嗅覚が戻ってくれば両方とも活きてきますから。彼はトリッキーなプレーでチームに勢いを与える、流れを変えられる選手ですから、本来の持ち味を発揮して、そこはどんどんやって欲しいですね」

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 11月は爆発的なオフェンス力を誇るシーホース三河や京都ハンナリーズ、A東京という各地区の上位チームとの対戦が控えている。序盤の千葉、宇都宮、川崎との対戦を3勝2敗で乗り切ったSR渋谷が勢いを増し、東地区をリードしていくためには“伊佐流”バスケの浸透が求められる。そのためにも、コート内外で山内の働きぶりが重要になってきそうだ。勝敗も気になるところだが、とにかくSR渋谷の試合は観ていて楽しいバスケットが繰り広げられること請け合いので、楽しみにアリーナへ足を運んで欲しい。