見逃すな!
折茂武彦ラストシーズンへ

2019年10月02日



文:川西祐介/写真:B.LEAGUE

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 昨日、今シーズン限りでの引退を表明した、レバンガ北海道の折茂武彦が札幌市内で記者会見を開いた。

 1970年5月14日生まれの折茂は現在49歳。正確なシュート力が最大の武器のシューターだ。1993年にトヨタ自動車アルバルク(現・アルバルク東京)に入団すると、2006-07シーズンまでに3度日本一を成した。その間、2度日本代表として世界選手権(現・ワールドカップ)に出場している。

 2007-08シーズンには、北海道初のプロバスケットボールクラブ、レラカムイ北海道の発足と同時に移籍する。2011-12シーズン前、そのレラカムイが経営悪化に陥ると自らが代表取締役となり、レバンガ北海道立ち上げに奔走した。それからは、オーナー兼プレーヤーとして、超多忙な日々を送っている。

 昨シーズン、1月5日のシーホース三河戦で、日本出身選手初となる、トップリーグでの通算10,000得点を達成。シーズンを通しても、チームの日本人選手で2番目となる平均6.4点を記録するなど、まだまだ勝利に貢献できるパフォーマンスを披露し、シェイプされた肉体を維持している。今シーズンを前にして本人は「49歳になって迎えたこの夏も、チームメイトと同じメニューで練習を続けることができた。やろうと思えばまだ続けられる」と語っていた。

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 しかし9月30日、27シーズン目となる、2019-20シーズン終了をもっての引退を表明したのだ。

 引退を決心したきっかけは、「八村塁や渡邊雄太らがNBAのチームに入団したり、B.LEAGUEでも富樫勇樹が小さなカラダでチームを勝たせる活躍を見せたりするなど、子どもたちに夢を与える若いプレーヤーが出てきた。これからは、彼らが中心となって日本のバスケットボール界を引っ張っていく。そのためには、自分は身を引く、けじめをとった方がいいと感じた」から。「バスケを普及させること、プレーヤーとして魅せることについての責任は果たすことができたのではないか」と、達成感もにじませた。

 シーズン前の発表については、「長く支え続けてきてくれた多くの人に、最後のプレーを見てもらいたい。シーズン後に、突然の引退表明はしたくなかった」と答えた。

 チームメイトには、9月28日に行われた、三遠ネオフェニックスとのプレシーズンゲーム後に、「開幕前でいい状態にあるので、それに水を指すことのないようにできるだけ淡々と伝えました。最後のシーズンとなること、最後のチームとなること、最後のチームメイトとなるので、よろしく」と、伝えたという。最後のシーズンを迎えるにあたってのモチベーションは「バスケ人生の集大成。チームの一員として、最後までプレーを続ける」と、ラストシーズンに対する意気込みも口にした。

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 ここまでの26シーズンについて、「トヨタに入った時、チームは弱く初優勝まで9年かかりました。最終的には3度の日本一を達成でき、プレーヤーとして最も成長できた時だと思います。それから、レラカムイに移籍して、初めてチームも自分もプロとなり、第2のバスケ人生がスタートしました。そして、レバンガを立ち上げて、代表兼プレーヤーとなって今年で9シーズン目。厳しくて苦しくて、孤独で大変だけど、人間として成長できました。北海道は僕にとって特別な地となりました」と、振り返った。

 記者会見で印象に残ったのは、繰り返し応援し続け、支え続けてくれたファンへの感謝の言葉だ。「トヨタの時は企業チームということもあって、正直ファンのことを考えることはあまりできませんでした。ですが、その時でさえいろいろな人に支えられていた。北海道に来てからは、こんな僕に『北海道に来てくれてありがとう』と声をかけてくれるファンにも恵まれました。長く現役を続けられたのは本当にそうした皆さんのおかげ。最後のシーズン、多くの人に僕のプレーを見てもらって、お礼を伝えたいです」。

 現役にしてレジェンドの折茂の引退は、突然の発表だった。しかし、それがシーズン前に行われたことで、ラストシーズンを見に行くことができるのは、事実。地元北海道以外のアリーナも、折茂の最後の勇姿を見ようと多くのファンが集まることは間違いない。50歳近くまでトップリーグでプレーするバスケットボールプレーヤーは、もう出てこないかもしれない。レジェンドの最終シーズン、そのプレーを目に焼き付けよう。

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左は2002年の初優勝を伝える、2002-03シーズン(JBL)プログラム。右はトヨタ自動車アルバルクの注目選手として折茂を紹介する2001-02シーズンプログラム。