宮田諭と齋藤豊、長谷川武らベテランが語る
自身のキャリア、プロとアマ、そしてB2での戦い(第2回)

2019年09月11日



まとめ:川西祐介/写真:皆人公平

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今シーズンからB2で戦う東京エクセレンスと越谷アルファーズ。ともに現在は「プロ」だが、東京EXはクラブチーム、越谷は実業団チームとしてNBDL時代から切磋琢磨してきた。運営スタイルは違っても、どこか似通った道を歩んできた2チームに長く在籍する宮田諭、齋藤豊(東京EX)、長谷川武(越谷)が顔を合わせ、自身のキャリアを振り返りつつ、B.LEAGUE時代における“プロとアマ”、そしてライバルチームについて語り合った。ベテランと呼ばれるまで長くプレーを続けている分、いろいろなカテゴリー、立場でバスケに取り組んできた3人。彼ら“ならでは”の話題に広がった(全3回)

=第2回=
――東京EXはクラブチームからNBDL加入時にプロチームとなり、越谷も昨シーズンからプロチームへと移行しました。クラブチームや実業団チームの時から在籍する皆さんは、“プロ”とはどういうものだと考えていらっしゃいますか?

宮田「一番は絶対的に自分たちを応援することを楽しみにしている人がどれだけいるかだと思っています。アマチュアのクラブチームの時とか、NBDLでやっている時も、段階的にファンの方は増えていましたけど、それは身内や知っている人が応援に来てくれて、その中で頑張っている感じでした。
 だけど今はバスケが入口か、エクセレンスが入口か、アルファーズが入口かわからないですけど、試合会場に来て楽しかったからまた来てくれる。もともとチームとか僕らのことを知らない人が増えています。昨シーズン、アルファーズがプロ化して、アウェーに行った時にめちゃくちゃ人が入ってた。それまでは正直『ザ・企業チーム』を相手にしている感じだったんですけどね。
 プロになって違うと感じるのは、アウェーに行った時にどれだけ楽しいかだと思います。アウェーに行ってお客さんがいっぱいいるとすごく楽しい。もちろん、ホームの声援も嬉しいし、アウェーに来てくれている自分たちの仲間の姿を見ることも嬉しいです。相手のホームに行ってお客さんがあれだけ入っていると、『やっぱプロチームとの試合っていいな』と思います。応援してもらえると頑張れるし、頑張らなくちゃいけないと思える。そこが一番違いますね」

――齋藤選手はSNSを活用して、ファンを楽しませていますね。プロチームになったことで意識が変わったということでしょうか。

齋藤「昔の企業チームだったら『自分が楽しい』だけだったと思います。今、プロチームになって、『みんなが楽しい』に変わった。視点が1つじゃなくて、2つ3つになったんだと思います。以前は、視点1の『自分(プレーヤー)から見て楽しい』だけだった。そこに視点2として『周り(ファン)が自分(プレーヤー、試合)を観て楽しいと思ってくれるのか』と、視点3の『自分自身(プレーヤー)が本当にこれ(プレーするだけ)でいいのか』が加わった。だから、僕はみんなを楽しませたいし、楽しんでもらいたいし、一生懸命にプレーするところを観て欲しい。その結果、ファンの方が『また観たいな』って思ってくれたらそれはすごく嬉しいですね」

――それはB.LEAGUEになってからですか?

齋藤「プロチームになったからとか環境が僕の考え方を変えたんではなくて。まったくバスケと関係ないところ。自分自身このままではいけないなって気づくことがあったんです。実は僕、幼稚園を作りたいんです」

一同「えっ?」

齋藤「でも一人では作れないし、いろんな人に助けを求めていたら、人と話さなきゃいけないし、交流もしなければいけない。そんな流れで、今なら方法もいろいろあると思って、そんな流れでSNSは始めました」

宮田「幼稚園作るの?今から?」。

齋藤「教育に興味があって……でも、大学や高校、中学校、小学校を作るのは難しいじゃないですか。もしかしたら幼稚園なら作れるかもしれないと考えたんです。でも忙しすぎて頓挫しています」

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――越谷は昨シーズンからプロチームになりました。何か変化はありましたか?

長谷川「僕は試合が始まると集中して、音楽もそうなんですが、ファンの声も聞こえなくなってしまうんです。でも、会場を見た時、人が多く入っているのはわかるし、それを見たらやっぱり気持ちが盛り上がります。越谷に移ったばかりの時は、まだファンも少なかったんですけど、スタッフが頑張ってくれて、徐々に会場に来てくれるファンが増えていきました。1,000人以上入る試合もあったと思います。それに、自分のファンも増えてきていて、やっぱり嬉しいですね」

――ご自身のどんなプレーがファンを惹きつけると思われますか?

長谷川「なんなんですかね?」

宮田「僕は『アルファーズの象徴は?』と言われたら長谷川選手なんですよ。彼がいるからアウトサイド寄りの外国籍選手もロスターに加えられるとか、逆にビッグマンがいたら長谷川選手がアウトサイドでプレーしてくれる。そういうバリエーションを出せるのは、彼がチームにいるからだと思います。
 彼がなんでもできるのはみんなわかっているし、試合によって役割が違うから観ていて面白いと思います。デカイのに外からも打つし、トリッキーなパスも出す。カラダを張って外国籍選手とマッチアップもできるから見どころが多い。長年観ている人ほど、面白みを知っているだろうし、初めて観る人は『なんでもできる、すごい』ってなる。多分(笑)」

長谷川「らしいです(笑)」

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――対戦相手として、プロになった越谷は以前と変わったところがありましたか?

宮田「前に戦っていた時と違っていたのは、長谷川選手がチームメイトによく声をかけていること。しかもなかなか厳しいことも言っているなと思いましたね。もしかしたら若いプレーヤーにしたら、萎縮しちゃうくらいのことも言っていた。でも、それこそがプロだし、チーム内に遠慮があるといけない。だから企業チームをプロチームに変えなくてはという、嫌な役かもしれないけど、いろいろなキャリアを積んでいるからこそわかる危機感を持って、その役をやっていたんだと思います。
 アルファーズは、上手く勝とうとする印象のチームでした。上手くっていうのはテクニカルな部分だけではなくて、メンタルの部分も含めてです。上手くやらないとプロに勝てないよねと考えながらプレーしていたチームが、昨シーズンはがっつくようにプレーしてきた。そこは、長谷川選手が尻を叩いていた結果だと思いますね。締めるところは締めて、次を狙う、そんなプレーで魅せる。そういう印象を持つようになりました」

――宮田選手の言うように、まだ大半が社員選手であるチームメイトに対して、「プロとは」というところで声をかけていたのでしょうか?

長谷川「やっぱりみんな仕事があるので、バスケのことだけ考えるわけにはいかなくて、経験値が足りないところはどうしてもある。だから僕が見えていることをできるだけ言葉にして伝えようと思っていました。『ここが空いている』とか、『シュート打てるタイミングなんじゃないか』とか」

――そういう嫌われ役というのは難しさとか、時には反発などもあったのではないですか?

長谷川「誰かが嫌われ役をやらないとチームは育たないですから。僕がほぼ最年長なんで、それを買って出たというか、自然に。意識はしていなかったんですが、チーム状況があまり良くないという直感があったのかもしれません」

――結果として、昇格を勝ち取りました。

長谷川「達成感がありましたね。目標を超えた結果だったかも」

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――B3には豊田合成スコーピオンズとアイシン・エィ・ダブリュ アレイオンズ安城という実業団チームが在籍しています。

齋藤「この2チームはめちゃくちゃ上手い」

宮田「多分外国籍選手がいない状態だったら、ウチも負ける。この2チームは、最近は外国籍選手もロスターに入れていますけど、元々は日本人選手だけでも戦えるメンバーが揃っています。彼らは、Bリーガー(プロ)になろうと思ったらなれる選手も多いと思いますし、試合をしているとやっぱりいいプレーヤーだなと感じますからね。
 だからこの2チームを応援している人は、目が肥えていて、選手個々を学生時代から観ているので上手さを理解しているんだと思います。この2チームの見どころを挙げるなら、日本人選手の強さと得点力の高さ。バスケのクオリティで言えば、B2のチームと試合しても全然問題ないと思います。それくらいのチームだと思って観てほしい」

長谷川「この両チームは実際強かったです。足りないところといったら、身長かな。あと5センチ、10センチ高かったら、ウチも負けることあったと思う。技術もそうですけど、バスケIQも高くて、やりづらかったですね」

齋藤「昔から思っているんですけど、個人的には社員選手がプロ選手を相手にどれだけできるかっていう部分に、ファンの皆さんも共感すると思うんです。社員選手が日中働いて、家に帰る前に練習をするというのは、普段バスケをしているファンの方と同じだと思うんです。『自分もこの人たちと同じようにやればできるんだ』という希望になる。同じ年齢とか、フルで働いているとか、そういうところを頼もしいというか、勇気を感じるんじゃないかな。すごいと思っています」

 クラブチームや実業団チーム、海外チームなど、様々なカテゴリーでプレーしてきた3人だからこそ、どんな立場のプレーヤーの気持ちもわかるし、バスケをプレーすることの楽しさも知っているのだろう。第3回では、NBDL時代から切磋琢磨を続ける3人がライバルチームについて語った。