ベルテックス静岡がプレシーズンゲーム開催
期待膨らむプレーを披露

2019年08月21日



文と写真:川西祐介DSC_0094

 日本代表がワールドカップに向けたトレーニングや調整を兼ねた親善試合を行っている8月。B.LEAGUEのチームでも、この時期までの練習の仕上がり具合や課題を、プレシーズンゲームを行うことで確認している。

 今シーズンからB3に加わるベルテックス静岡もその中の1チームだ。8月18日、静岡市中央体育館で、昨シーズンのB3リーグ王者で今シーズンはB2へと昇格した、東京エクセレンスとのプレシーズンゲームを開催した。

 プレシーズンゲームとはいえ、『ホーム』のファン、ブースターの前で初めてプレーする場だ。試合開始1時間前、コート上で行われたのは、集まったファンに向けた新体制発表会。一人ひとり、名前を呼ばれた選手が走って登場するたびに、会場からは大きな声援が上がる。選手たちはその反応を嬉しくも、どこかこそばゆく感じているような表情を見せていた。ベルテックス静岡というチームを、ファン、選手みんなで盛り上げたいという思いと、新チームの力強いスタートを感じさせるシーンだった。

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静岡出身選手と実力ある外国籍選手が融合した好チーム
 静岡はB1の三遠ネオフェニックスでプレー経験のある大石慎之介(静岡県沼津市出身)と、B2の香川ファイブアローズでチームを牽引していた大澤歩(同静岡市出身)という、地元選手を中心に据える。

 とくに大石は、三遠に所属していた2018年2月に右膝前十字靭帯断裂の大ケガを負った後、提示された三遠の契約延長オファーを断り、昨年は静岡の前身チームである静岡エスアカデミア・スポーツクラブに在籍。チームのB3参入にも尽力した。

 このふたりに、B2やB3でのプレー経験を持つ中堅の山下颯、2017-18シーズンに熊本ヴォルターズで特別指定選手としてプレーした松尾啓輔、昨シーズンに三遠ネオフェニックスで特別指定選手としてプレーした近藤崚太の両ルーキーが絡んでいく。

 さらに、外国籍選手には、昨シーズンのB3レギュラーシーズンでリバウンド、アシスト、スティールの3部門でスタッツリーダーとなり、シーズンベスト5にも選出された、ブライアン・ヴォールケルを豊田合成スコーピオンズから迎え入れた。そしてもうひとり、高校時代にアメリカのカリフォルニア州最優秀選手に選ばれた、ローション・プリンスを加えている。

 指揮を執るのは、昨年全国中学校体育大会で実践学園中学校男子チームをアシスタントコーチ兼ストラテジックデザイナーとして優勝へ導いた後藤祥太。25歳の若き指揮官だ。実践学園中の前は、熊本大学や自身の出身校である東京学芸大学での指導歴があるが、プロチームでは初采配となる。どのようにチームを導くのか、その手腕に注目したい。

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B3王者を相手にチームとファン一体で戦う
 さて試合は、初のホームゲームで気持ちの入っていた静岡がいきなりの10点ランで始まった。東京EXにとっても新シーズン初の実戦ということもあり、シュート確率が悪く、気持ちの面で静岡に圧倒され一気にリードを許した形だ。この新チームの戦いぶりに、ホームのファンも大きな歓声で後押しする。最初のクォーターは静岡が22-12と10点リードを保った。

 続く2Qも連係でもたつく東京EXのパスミスを誘い、5点を追加して、静岡は15点までリードを広げる。しかし、徐々にエンジンがかかり始めた東京EXは昨シーズンのB3のMVPであるジョーダン・フェイゾンにボールを集めて追い上げを図り、残り4分を切ったところで4点差まで詰めた。しかし、静岡の大澤が苦しい場面で3ポイントシュートを決めて突き放し、9点リードのままハーフタイムを迎えることができた。

DSC_0114 後半3Qはそれまでチームの流れを作ることに力を割いていた静岡のヴォールケルがインサイドを攻めて、東京EXのファウルを引き出す。東京EXもフェイゾンとライアン・ステファンの外国籍コンビで追いすがり、6点差まで追い上げて最終クォーターへ。

 4Q、静岡は松尾が5点連取で再びリードを2桁に戻す。しかし、ここから一気に東京EXが攻勢に転じ、フェイゾンと丹野合気の積極的なプレーで連続得点し、残り4分を切って逆転。その後も得点を重ねて、結局17点のランを披露した。静岡はこのクォーター7点しか取れず、58-70と逆転負けを喫し、苦いホームデビュー戦となった。

一歩一歩足元を見つめながら日本のてっぺんを目指す
 終わってみれば、東京EXの試合巧者ぶりが目立つ形となった。しかし、静岡は初のホームゲームで気持ちを一つにして試合に臨むことができ、負けたとはいえ、試合の大半をリードできた。静岡にとっては大きな収穫となったはずだ。試合後に後藤HCも「一番良かったのは、チーム一丸となって試合に入れたこと。ワンプレーワンプレーにベンチも盛り上がって、自分たちが悪い流れの時、タイムアウトの時、声をかけあえた。そういう団結力を確認できた」とチームを評価した。

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 大石は「僕たちは失うものがないので、チャレンジャーとして戦おうと試合前に話し合っていました。その中で35分間リードできた。そこはすごく自信がつきましたね。ただ、最後に勝ちを拾えなかったのは、若さが出たかなと思います。開幕まで時間があるようでないので、この敗戦を糧に一人ひとりがさらに努力しないとダメだと思っています。あと1カ月でチームがどれだけ仕上がるかっていうのを、開幕戦でファンの皆さんに観ていただきたいと思います」と、試合を総括。現時点のチームの実力と課題の再確認ができたようだ。

 大澤は「負けはしましたけど、静岡の皆さんの前でプレーできたのは楽しかった。自分たちが一番ワクワクしました。シーズン開幕戦は、自分たちがワクワクするのはもちろん、ファンの皆さんに、観に来て楽しかった、ベルテックス静岡って最高だなと言ってもらいたい」と、シーズンに向けての意気込みを見せた。

 この試合は、静岡にとっての最初の一歩。集まったファンの声援の大きさ、B3チャンピオンにも怯むことなく戦うチームの姿に、B3で旋風を起こしそうな期待が膨らむ一戦だった。

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