仙台89ERSの新たなサイクルが始動
澤邉圭太は“Go to Guy”となれるか

2018年10月10日



文:川西祐介/写真:B.LEAGUE

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 2017-18シーズン終了後、チームの顔である志村雄彦が引退してフロント入りし、中心プレーヤーだった石川海斗が信州ブレイブウォリアーズへと去っていくなど、ひとつのサイクルを終えた仙台89ERS。

 新たなサイクルに入るにあたって、まずは大阪エヴェッサから桶谷大新ヘッドコーチを迎え入れた。そして、桶谷HCと岩手ビッグブルズで共闘し、“桶谷バスケ”を知る月野雅人を金沢武士団から呼び寄せて、新キャプテンを任せるなど、新生ナイナーズの構築は着々と進められた。

 月野の他にも“桶谷バスケ”を知るプレーヤーが、ヘッドコーチの前任チームである大阪エヴェッサから加入している。安部潤と澤邉圭太だ。ベテランの安部潤の役割は、月野と同じく新チームに“桶谷バスケ”をスムーズにインプットすることにある。

“現在(いま)”と“未来”を見越したチーム作り
 新生ナイナーズにおいて、より注目なのは澤邉だ。彼こそが今シーズンの仙台のカギとなるプレーヤーだろう。

 澤邉は2016年12月に大阪学院大学からアーリーエントリーで大阪に入団した。だが、その(2016-17)シーズンは6ゲーム、翌シーズンも7ゲームと、出場機会は限られていた。桶谷HCは「大阪時代の澤邉は、経験不足から、練習でも我々の指示の意味を理解するまでに至っていなかった」ことをその理由として挙げた。

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 しかし、そんな澤邉が仙台に来てからは、スターターを任されている。プレータイムもここ(第2節)まで、外国籍選手のタイラー・ハリスとダニエル・ミラー、月野に次いで長い。在籍するチームのカテゴリーがB1からB2に替わり、チームメイトも変わっているため、単純な比較はできないが、ヘッドコーチが同じ桶谷HCということを考えると、大抜擢と言えるのではないだろうか。その理由をヘッドコーチに訊いた。

 「僕たちはB1に行きたい。もちろんB2で勝たないといけないんですが、勝ちながら誰かを成長させないといけないとも考えています。来シーズン、いざB1へ行った時に戦えるプレーヤーを作っていかないといけない。澤邉をどれだけ成長させることができるかというのが、(今シーズンの)僕のテーマのひとつにあります」。桶谷HCはB1昇格後まで視野に入れた選手起用を行っていると言う。それが、澤邉の抜擢につながっているのだ。

 もちろん、B1昇格後のことを考えて戦えるほどB2は甘くない。それくらいの気概を持って選手を成長させることが、B2での勝利にも近づくことにつながると桶谷HCも考えているのだろう。

新生ナイナーズのゴートゥーガイとなれるか
 それに澤邉には、桶谷HCが彼を起用したい、B1で見たいと思わせる、光るプレーがあるのだ。それが“リングへのアタック”。澤邉も「アタックが僕の持ち味。アタックすることでディフェンスを崩す、切り込み隊長としてやっていきたい」と自信を見せる。

 そんな彼に桶谷HCは俊野達彦のようなプレーをして欲しいと伝えたという。俊野は、昨シーズンまでB2の愛媛オレンジバイキングスでプレーし、今シーズンからはB1の秋田ノーザンハピネッツでキャプテンを務めている。まさにB2で成長し、B1で戦う資格をつかみ取ったプレーヤーだ。

 「昨シーズンのB2で最も上手くファウルをもらって、フリースローにつなげていたのが彼(俊野)だと思っています。だから澤邉には、今シーズン日本人選手で一番ファウルを引き出して、フリースローをもらいなさいと言っています。それができれば、B1でも通用する」(桶谷HC)。

 澤邉も「僕はフリースローも決められる。相手のファウルを誘って、得点できるっていうのは、いいオフェンスだと思うので、アタックし続けます」と応える。開幕節の福島ファイヤーボンズとのGAME2では、ファウルを4つ受け、フリースローを8本打ち、7本決めるなど、桶谷HCの期待するプレーでチームのリーグ戦初勝利に貢献してみせた。

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 澤邉がどこまで成長できるのかが、今シーズンの仙台の勝利のポイントになるのは間違いない。澤邉自身が「スタートで出るっていうのは、年齢は関係ない。責任感を持って毎試合臨みたい」という自覚を持ち続け、努力を重ねれば、その成長はとどまることはないだろう。桶谷HCもその成長に惜しみなく力を貸すはずだ。

 澤邉が仙台を引っ張る選手にまでなった時、仙台がシーズンの最終盤までB1昇格を争っているのは間違いない。