JX-ENEOS、無敗で二冠達成!
第18回Wリーグ FINAL

2017年03月13日



文・皆人公平 写真・吉田宗彦

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第1戦(3月8日@佐賀県総合体育館)
JX-ENEOS ○84‐53● トヨタ自動車
第2戦(3月10日@熊本県立総合体育館)
JX-ENEOS ○74‐53● トヨタ自動車
第3戦(3月12日@国立代々木競技場第二体育館)
JX-ENEOS 〇75‐51● トヨタ自動車

 結果はご覧のとおり、3連勝でJX-ENEOSサンフラワーズが9年連続20回目の優勝を飾った。3試合をQ(クォーター)ごとに分けて見ても、JX-ENEOSがリードを許したのは12Q中2回だけ。相手の得点を1ケタ得点に抑えたQが3度あり、第1戦の4Qは25‐4というスコアで圧倒した。これで今シーズンはオールジャパンと合わせて二冠を達成し、無敗のままシーズンを終えた。

いい素材を育てて、いいチームにする
 「私のキャリアの中で10回目となるファイナルでしたが、これまでで最強のチームと戦いました。シーズンを無敗で終えるJX-ENEOSは素晴らしいチームで、本当におめでとうと言いたい」。試合後のドナルド・ベックヘッドコーチ(トヨタ自動車アンテロープス)のコメントだ。

 なす術がなかったようにも見える3戦だったが、第1戦目から脚を使ったディフェンスでプレッシャーをかけ続け、ペースをつかんだ時間帯があった。第1戦の出だしはリズムをつかんでいたし、第2戦は1Qを24-19とリードした。不利とされたインサイドは若手ががんばり、思い切りの良いオフェンスで果敢にアタックした。

 それでもJX-ENEOSの壁はなお高く、1勝をもぎ取ることはできなかった。

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信頼関係が強化の礎
 「私が、私のチームをどれほど誇りに思っているかをお伝えしたいと思います。彼女たちは、私がコーチをしてきた中で、一番いいチームです。全員がハードワークをこなし、同じ目標を持ち、そしてファイナルのコートでプレーできる選手、チームであることを証明しました。そのプロセスを大切にできたことを誇りに思います」(ベックHC)。

 就任2年目でチームをファイナルに導いたベックHCの手腕はもちろんのこと、キャプテン大神雄子の存在も大きかった。国内でのプレーにとどまらず、WNBA(米国)やWCBA(中国)でキャリアを重ね、女子バスケット全体の牽引役となった彼女のリーダーシップ、メンタリティ抜きにこのチームは語れない。

 「昨シーズンはクォーターファイナルで負け、今シーズンは“みんなでファイナルへ行こう”とチームをつくってきました。結果に満足はしていませんが、1つずつ階段を上がっている途中だと思います。必ず来シーズンにつながるものだと思っています」という言葉には、すでに来シーズンに向けた決意が感じられた。

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「自分たちのバスケット」という自負
 さて、優勝したJX-ENEOSだが、「あれだけいい選手を集めれば勝てる……」という声を聞くことがあるが、「集めただけ」で勝てるわけではない。いい素材をさらに磨き上げるからこそ、“圧倒的な強さ”を発揮し続けられるのだ。

 今シーズンのWリーグは、昨夏のリオ五輪で活躍した選手たちがそれぞれチームに戻り、核となる活躍を期待された。フィジカルもメンタルも、開幕に合わせ万全の状態に調整するのは難しかっただろう。これまで以上の期待感に押しつぶされそうになっていたに違いない。それでもなお、高いモチベーションを維持して戦えたのがJX-ENEOSの選手たちだった。

 試合後の記者会見でそのこと(モチベーションの維持について)を質問されたホーバスHCと選手たち(吉田亜沙美、間宮佑佳、宮澤夕貴)がそろって口にしたのが、互いの信頼感である。

 「いい選手はいますから、“いいチーム”をつくろうと思いました。相手は関係ありません。自分たちのバスケットをきちんとやれば負けないはずです」(ホーバスHC)

 「トムさんがすごく強いチームをつくり、高い目標を与えてくれました。だから、選手たちは成長できました」(間宮)

 「トムさんとの会話で、『ここがダメ、これはもっとできるでしょう』とアドバイスを受けました。自分に足りないところが理解できたので、それがモチベーションになりました」(宮澤)

 「トムさんが理想とするバスケットに追いつき、追い越すことが選手たちの目標でした。もっともっと上手くなりたいという気持ちが大切です。今日は強い気持ちをもって、自分たちのバスケットができたと思います」(吉田)

 試合中、大差がついても、“自分たちのバスケットの追求”は緩むことはがなかった。間違ったシュートセレクションに厳しいまなざしを向けるヘッドコーチの姿があり、常にトライし続ける選手たちの姿勢が見て取れた。日々成長することがJX-ENEOSのバスケットだ。

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 “昨日より今日、今日より明日”──女子バスケットの成長は、JX-ENEOSの9連覇と重なり、着実な歩みを続けてきたのかもしれない。今春から女子日本代表の指揮を執ることが決まっているトム・ホーバスHC。2020年までの道のりがとても楽しみになってきた。

 高い目標をもった選手たちが集まり、もっともっと成長したいと切磋琢磨する姿が想像できる。その間、WリーグはJX-ENEOSの連覇が続いているかもしれないが、願わくは「二強時代」あるいは「三つ巴の争い」というライバル物語が始まっていてほしい気もする。

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