全国大会でスタメン起用の2年生
キーマン封じて安城学園準Vに貢献

2018年01月03日



文:大橋裕之/写真:大澤智子

0F4A47312度の延長戦のすえ惜敗
 高校バスケ最高峰の戦い、ウインターカップ。女子決勝が2017年12月28日に東京体育館で開催され、安城学園(愛知)は、大阪桐蔭(大阪)と対戦し、2度のオーバータイムのすえに84-86で惜敗した。第3Pを終わって10点差をつけ、第4P残り2分を切ってもなおリードを奪っていただけに、全国制覇まで本当にあと一歩のところだった。

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 秋田の能代工業出身で、元日本代表の金子寛治コーチが“大きいチームに平面で勝つバスケ”を信条に、準々決勝では、夏のインターハイ(IH)女王の岐阜女子を105-79で破り、準決勝では大会得点王の奥山理々嘉を擁した八雲学園(東京)に90-85で勝ち切った。頂点には届かずとも、1試合平均得点は92点と出場チーム最多。金子コーチは「5試合を戦うと、竹原(レイラ)選手(大阪桐蔭)や奥山選手のようにペイントエリアで得点をとれる選手は大きいですね。うちは全員で動き回ってドライブに行くので、疲労感も大きかったと思います。よくやってくれました」と、選手たちの頑張りを称えた。

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キーマンを封じた2年生
 今夏のIH8強から躍進を見せた背景には、10月のFIBA U16 Asian選手権大会で準優勝に貢献した2年生の♯13野口さくら(182cm)のオールラウンドな活躍だけでなく、同級生の♯10深津彩生(177cm)の奮闘も見逃せない。パワーフォワードとして、マークマンに競り負けず、ゴール下を死守した。特に女子日本代表候補の竹原(185cm)とのマッチアップでは、準決勝までの4試合平均で29.3得点、13.5リバウンドを記録した相手を、7得点(FG:3/15本)に抑え込んだ。自身も終盤には4ファウルとなったが最後まで踏ん張った。

 もちろんディフェンスであるため、彼女一人の成果ではない。竹原にボールが入ると、♯13野口や♯4上村菜々美らがヘルプに寄って、圧力をかけた。その一方で、終始、体を張ってイージーなポストアップはさせず、ボックスアウトを徹底して、存在感を発揮。「レイラ選手はコンタクトが強くて、その前の試合(準決勝・大阪桐蔭vs桜花学園)を見ると、キーマンになって得点を取っていたので、しっかり守ることを集中してやりました」と、深津は高校No.1センターとの対戦を振り返った。

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県予選で控え、大一番に向けて起用
 しかし彼女は愛知県予選ではスターティング5ではなかったという。金子コーチ曰く「県では県で勝つための選手起用でした。今大会は岐阜女子のクンバ(♯7バイ クンバ・ディヤサン、190cm)選手へのディフェンスに向けてです」と、IH女王との大一番を見据えてのことを明かした。さらに「決勝の竹原選手に対しても頑張りましたね」と、彼女の活躍をねぎらった。本人は「クンバ選手がすごいので、ディフェンスでのコンタクトをずっと練習してきたので、それを活かせたと思います」と、入念な準備が決勝まで戦った各チームの主力封じにつながったと胸を張った。

 さらに守備を期待されてコートに立ったが、決勝の延長戦では序盤に先行されながらも、オープンショットの3Pシュートを確実に沈め、終了間際には、♯13野口から受けたパスをゴール下で押し込み、再延長につなぐなど、チームをピンチから救った。本人は攻撃については、「そんなに得意ではないのですけど……チャンスがあれば攻めようと思っています」と、控え目であったが、土壇場での再延長弾は、「なにも頭になく、(パスが来たので)決めるしかない! と最後は気持ちで行きました」と勝負所で決めきるハートの強さを垣間見せた。

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“勝負しきれる”選手になれるか
 深津は野口とともに新チームの主力となっていくだろう。冬の大舞台で実感できた成長について、「ボックスアウトからのリバウンド。(チームの)陰のところで、細かい部分までしっかりやることです」と、自信を深めた。

 一方で、ステップアップするためには、まだどことなく控え目で、一歩引いてしまいそうなメンタルを払拭していくことが必要だろう。ハートが強くなれば、自信がなさそうなオフェンスもまだまだ伸びるはずだ。金子コーチは「来年は恐らく、岐阜女子、桜花(学園)、八雲(学園)にウチ。そこに聖和(学園)が上位に来ると思う」と、勢力図を予測しており、「ウチは才能があるんですけど、勝負しきれていない子がいる。今回の悔しい思いが湧いてきていると思うんでね……」と、この負けが選手たちのエネルギーになることを望んでいる。

 もっとも深津自身も勝ち切れなかった思いを胸に、しっかり前を向いていた。「今大会は“2年生だから”というのもあったんですけど、そうは言っていられない。最上級生として、自分のことをやりながら、しっかりチームのことも責任を持って、絶対に優勝したい」と言い切った。チームの年明けの始動は1月4日から。金子コーチからは、「大阪桐蔭とやります!」という言葉も飛び出した。数チームが集まって練習試合を行う予定だという。まだ見ぬ頂点に向けて、安城学園は再び走り出す。