仙台に帰ってきた昨季のMVP
ホワイトが持つ数字以上の存在感

2016年12月21日



文:大橋裕之/写真:B.LEAGUE

1481983055491-3e862f000e1025bfdffc491b-106061-original

■復帰後、初の1勝
 待望の勝利だ。仙台89ERS(以下仙台)は12月17日に敵地で横浜ビー・コルセアーズを76-64で破り、チームワーストの12連敗をようやくストップ。40分間、集中力の切れないディフェンスで粘り強く戦い、第4Qの逆襲につなげて、10月30日以来となる白星をつかみとった。さらに苦境の仙台を救うべく帰ってきた、ウェンデル・ホワイトのチーム復帰後の初勝利でもあった。

■仙台に帰ってきた理由
 彼は2009-2010シーズンにbjリーグの浜松・東三河フェニックス(現三遠ネオフェニックス)に入団し、日本でのキャリアをスタートさせた。それ以降、京都ハンナリーズ、大分ヒートデビルズなどを渡り歩き、2013-2014シーズンに仙台へ加入すると、昨季はレギュラーシーズンMVP(6シーズンぶり2度目)に輝き、チームのカンファレンス・セミファイナル進出に大きく貢献。シーズン終了後にアメリカへ帰国するも、不振にあえぐチームを助けるべく、11月23日のアルバルク東京戦よりコートに復帰した。
 “ナイナーズイエロー”のユニフォームに再び袖を通した一番の理由について彼は、「チームは私のことをプレーヤーとしてだけでなく、ずっと“家族の一員”として接してくれました。帰国したあとも間橋(健生)ヘッドコーチ、志村雄彦選手、片岡大晴選手は、連絡をしてきてくれて、ファミリーという気持ちを強く感じることができたから」と話している。

1481983049172-b90e089ea0e232f83cd7c8d7-105911-original
■ホワイトが持つ数字以上の存在感

 ホワイトの加入により得点とリバウンドの両面で仙台の武器は増えた。実際、ここまでの9試合で1試合平均20.1得点、11.6リバウンドとダブルダブルの活躍を続けている。しかし、数字以上に彼の存在そのものが、チームにとっては大きな補強となった。片岡はホワイトの復帰について「ウェンデルは日本人選手とのコミュニケーションがうまく取れるだけでなく、バスケットボール選手として素晴らしいです。僕たちにいつも“勇気”をくれるし、練習から常に勝負にこだわり、チームを引っ張る存在です。戻ってきてくれて、本当に毎日バスケが楽しい」と教えてくれた。なかなか勝ち星に恵まれなかったが、ホワイトがリーダーシップを発揮して、チームの空気を大きく変え、闘志に再び火をつけたことは確かだ。
 また間橋HCも「彼はこれからもっと良くなると思います。もちろん期待はしていましたがここまで勝ちにつながらず、本人もゲームに(気持ちが)入り込みすぎていたように見えました。今日の勝利でより落ち着いて、彼らしくプレーできるようになるでしょう」とコメント。試合を重ねて、チームケミストリーが深まれば、ホワイトの強さはさらに増してくるに違いない。

■B.LEAGUEへの挑戦を意気込む
 この日の会見に出席したホワイトは終始、穏やかな口調でゲームを振り返り、チームにとっては久しぶりの、かつ自身合流後初の勝利ということもあって、ホッとした表情を見せていた。しかし「これから連勝のことを考えるよりも、1試合1試合に集中していくことが大事」と、気を引き締めることも忘れなかった。
 そしてbjリーグとNBLが統合されたB.LEAGUEでの戦うことについて、「昨シーズンと比べて、レベルが上がったと感じていますが、それが良い刺激となって自分やチームの大きな成長につながると思います。自分たちのバスケットボールを信じて、これからもプレーしていこうと考えています」と話した。仙台で4季目を戦う男は、仲間とともに新たな挑戦に意気込みを見せている。