ビーコルの新たな船出は聖地”文体”から
2年目の指揮官と完全復活を期す天才

2016年09月16日



文:大橋裕之 / 写真:大澤智子

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地元市長も激励 新たな船出
 今季こそやってくれるはずだ。2012-2013シーズンのbjリーグ制覇から一転、その後は低迷期をすごした横浜ビー・コルセアーズ。B1への参入チームの中で唯一、昨季はプレーオフに進出しておらず不安視もされたが、ロスターをみるとそんな気持ちもどこかへいってしまった。日本を代表するスコアラー川村卓也や、現役復帰を果たしたベテラン竹田謙、日本代表候補にも名を連ねたファイ・パプ月瑠などチーム史上最強となる大型補強でメンバーを揃えた。そしてなにより「横浜ビー・コルセアーズ記者発表(※1)」では移籍メンバーが多い中、選手たちの雰囲気が良く、開幕戦が待ち遠しそうに感じられた。

%e5%b1%b1%e7%94%b016-09-05_006_osawa#13 山田謙治

 またチームはそれに先立ち、ホームタウンである横浜市の林文子市長への表敬訪問(※1)を行った。林市長から「バスケットボールチームが街にあることは素晴らしいことです。横浜市としては市内外の方に足を運んでいただけるように協力します。それが一番の応援になるかと思います。今年はあまりにも強力(なチーム)で、すごく期待しています」と激励された。それに対して、主将の山田謙治は、「B.LEAGUE初年度で注目を浴びると思います。補強をして新たなメンバーになっているので、早く試合をしてお客様に感動を与えられるような良いプレーをしていきたいです」と意気込みを語っている。

%e9%9d%92%e6%9c%a8hc16-09-05_005_osawa青木勇人ヘッドコーチ

2年目の指揮官 目指すは“よりアグレッシブに”

 今季、横浜を率いるのは、昨季に続き青木勇人ヘッドコーチ。アシスタントコーチから昇格して「試練のシーズン」を送った経験は必ずやB.LEAGUE初年度の航海に活きてくるはずだ。顔ぶれが一新されたチームの方向性について、指揮官は「オフェンス、ディフェンスを昨年よりもアグレッシブにやりたい。それにプラスして、個性的なメンバーがそろったので、一人ひとりが輝けるようなバスケを展開したいと思います」と語ってくれた。
 またチームは8月末にディフェンスに特化したミニキャンプを実施した。かつての横浜を象徴する“ディフェンスのビーコル”。残念ながら過去3シーズン、それは失われつつあったが、大型補強でバスケIQが高く、スキルの高い選手が集まり、再びその姿が戻ってきそうだ。青木HCもこう続けた。「ディフェンスを堅実に行い、スムーズにオフェンスに入れれば、クリエイティブな選手がそろっているので、(相手を)打破できると思います」
 開幕戦に向けて着々と準備を進める指揮官。「60試合ある中で、どんどん成長していくチーム」と期待を寄せる平均年齢30.4歳の大人の選手たちを率いて、2年目の舵取りがスタートする。

%e5%b7%9d%e6%9d%9116-09-05_007_osawa#1 川村卓也

完全復活を期すクラッチシューター

 横浜の新戦力の中でひときわ注目を集めるのが、日本人初の高卒プロ選手で、日本を代表するスコアラー、川村卓也だ。勝負所で決めきる3Pシュート、引き出しの多いドライブなど、得点感覚は抜群。JBL時代にリンク栃木ブレックス(現 栃木ブレックス)を初優勝に導いたビックショットはいまなお色褪せない。今回の入団理由のひとつに「過去に何度も同じチームで戦った仲間」の存在をあげており、山田謙治、竹田謙と再び日本一を目指してプレーできることは彼にとってモチベーションになっているようだ。
 ただ、川村はここ最近、怪我などにより、満足いくパフォーマンスを発揮できていない。シーズン前に健康な体でいられることは久しぶりだ。本人も「(体の状態は)上り調子ですね。みんなと同じ(練習)メニューをこなし、それを日々積み重ねています」と語り、開幕戦に向けて視界は良好だ。そして“スターティング5を目指していきたいか”の問いについては、「(選手間の)争いやコーチの構想があってのことなのでなんとも言えない」と前置きしたうえで、「個人的には開幕はスタートメンバーとして迎えたい。僕のポジションは層が厚いので、調子の良い選手がスタートになると思いますので、あまりこだわりはないですけど、できることならばスタートで(チーム)を引っ張っていけたら嬉しいですね」と言葉の端々からスタメン奪取の気持ちがうかがえた。
 “天才的シューター”と言われることもあった川村も今年で30歳、プロ12年目を迎える。移籍組とは言え、高いスキルとキャリアに裏打ちされた経験でチームを牽引してもらいたい。B.LEAGUEで「優勝」するためにやってきた新天地で、彼は再び輝きを放とうとしている。

 

開幕戦の舞台は聖地“文体”

 ビーコルブースターの聖地である横浜文化体育館。“文体”の愛称で親しまれ、bjリーグ時代には参入初年度の開幕2戦目で初勝利を挙げ、その後2年連続でファイナルズが行われる有明への道を切り開いた舞台だ。さらに昨年は第4Qにブザービーターで追いつき延長戦で逆転勝ちするなど、記憶に残る試合がくり広げられている。オープニングゲームはチーム史上3度目。B.LEAGUE開幕戦という歴史的な試合をモノにして、新たな歴史を刻めるか。海賊たちの大航海が今、はじまろうとしている。

※1 いずれも9月5日(月)に横浜市役所で実施