新生サンロッカーズ渋谷
新指揮官が目指すバスケと注目の日本人2選手

2016年09月12日



文:大橋裕之 / 写真:大澤智子

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不安は杞憂に終わった 注目を集めた新体制
 「ヘッドコーチ交代」、「ベテランやキャプテンなど主力の移籍、退団」……これはサンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)がオフシーズンに直面したことだ。字面だけ見ると、ファンは不安を覚えそうだが、『新チームお披露目会(8月31日 於青山学院大学)』でそんな気持ちは一蹴された。新体制となって初めてスタッフ陣と選手全員がそろう日とあって、立ち見ができるほど多くのファンが集まり、一部は会場の入り口から溢れるほどであった。さらに渋谷区長である長谷部健氏もかけつけ、「優勝したら、渋谷でパレード!」とホームタウンのトップから熱いエールが送られた。

 

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新指揮官が目指すバスケ
 今季、指揮を執るのはBT・テーブス氏。昨季まで2季(その前年はアソシエイトヘッドコーチ)、WJBLの富士通を率いて、チームを2季連続でファイナルまで導いた手腕を持つ。SR渋谷は過去2季、NBL屈指の高さを武器に天皇杯を制覇するなどリーグで上位争いを演じてきたが、今季は主力の移籍や外国籍選手の退団で、11人のロースターのうち、5人が入れ替わっている。
 装いを新たにしたチームで、新指揮官は「選手の持っている能力を活かせるようにやっていきたい」と話したうえで、「プレッシャーをかけて、ディフェンスを頑張り、少しでも(多く)速攻を出す。ハーフコートでは、ボールと人を動かして、5人の共同作業で(オフェンスを)やっていく」と方向性を教えてくれた。運動量が多く、よりアグレッシブなチームバスケットが見られそうな予感がする。ただその一方で、「アグレッシブにやる中で、スマート(賢く)にやることが大事です。そこの差はまだまだ時間がかかると思います」とも考えており、長丁場のレギュラーシーズンを戦っていく中で、チームを上昇させていくことを描いていた。

 

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ルーキーのような気持ちで挑み、経験を還元したいベテラン
 ライジング福岡(現ライジングセフォーフクオカ)より移籍してきた清水大志郎。bjリーグ初年度から数えて今季でキャリア12シーズン目となり、ここでは日本人選手としては最年長だ。「引退時の線引きは、毎年考えさせられる」と近年は思っていたそうだが、今回のオファーはそんな気持ちを一変させた。「やっぱり残り少ないバスケットボールプレーヤー人生を上(のリーグ)で終わりたい。新たな挑戦ができて、ルーキーのような“やってやるぞ!”というもモチーベーションをもらいました」と清水は振りかえる。そして日本リーグ時代からの伝統あるチームへの入団にあたり、「(これまで)安定していないチームも経験した中で、(SR渋谷は)バスケットボールに集中できています。イコール、結果を絶対に残さないといけない」とプロとしての自覚をより一層強くしている。
 さらにbjリーグで地域密着の重要性を肌で感じているからこそ、「選手なので全力でプレーすることがまず大事ですけど、それプラス、渋谷区をホームタウンにしていく中で“応援してくれる方”や“スポンサーあってのプロ”という(オフコートでの)考えをチームメイトだけでなく、フロントへも(同じように)伝えていきたい」と自分の役割を考えている。選手とフロントが一体となってプロ集団として成長していくことを彼は望んでおり、それを実現するためにも、コート内外でこれまでの経験を活かしてくれるに違いない。

 

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下積みを経た3Pシューターが、いざ!最高峰の舞台へ挑戦
 そしてもう1人は、秋田ノーザンハピネッツから移籍の大塚裕土だ。B.LEAGUE開幕を控えて、「この時期にプロとしてやれることは、素晴らしいことだと思います。しっかり、プロとして自分のパフォーマンスをして、サンロッカーズのファンに加えて、日本のバスケファンに自分を見せたい」と意気込みを語っている。
 大塚は今シーズンでプロ生活7年目に突入する。東海大学を卒業後、TGI・D-RISEを経て、bjリーグの宮崎シャイニングサンズにドラフトで入団。1年後には、名将・中村和雄氏が率いていた秋田へ移籍した。そこでの3年間を「大変なシーズンだったが、結果的にはプラスになることばかりで、すべて(bjリーグファイナルズの)有明に行くことができた」と振り返っており、プロとして心身ともに成長を実感できたことを明かしている。だからこそ、SR渋谷での1年目は、今まで積み上げてきたことを最高に発揮したいところだろう。本人も「実際にどう思っているかわかりませんけど」と断ったうえで、「ファンの皆さんもbjから来たからそんな期待しないでおこうかな、という方もいるかもしれません。でも、コートに出て“この選手は違うな”“この選手が入って良かったな”と思ってもらえるように万全の状態でいきたいと思います。『カマシテ』いきたいです」と内に秘めた想いを語っている。3Pシューターとして、必ずやチームに勢いをもたらす活躍を見せてくれるはずだ。

 

開幕戦で“インパクトを与えたい”
 SR渋谷の開幕戦は敵地で横浜ビー・コルセアーズと戦う。重要な一戦に対して、清水は「チームだけでなく、リーグ全体に対して、どういうチームか印象づけることになります。もちろん初戦を勝つことも大事ですし、連勝してインパクトを与えたい。自分たちのスタイルを貫いて勝つことが一番良いのですけど、そこはスタイルよりも結果を僕は求めていきたい。1点差でも(試合をモノにしたい)です」と“必勝”を誓っている。新たな幕開けまでもう少し、9月24日が待ち遠しい。