ジャイアントキリングを起こしたバンビシャス奈良
ヘッドコーチ交代後の変化とは

2018年04月13日



文:川西祐介/写真:B.LEAGUE

photo_427420 B2西地区のバンビシャス奈良は、22節を終えて、地区最下位。リーグでもワースト2位タイの成績だ。しかし、2月のヘッドコーチ交代を機に、チーム状態は上向いた。

 奈良はチーム創設以来、昨シーズンまで30代の若い日本人HCに指揮を託してきた。だが今シーズンは、日本代表を率いた経験もある、ジェリコ・パブリセビッチ氏を招へい。昨シーズン残したチーム最高勝率4割を超え、プレーオフ進出を目指すチームとしてスタートした。

 飛躍を期したシーズンだったが、34試合を終えて7勝27敗と成績は低迷。この時点でチーム史上初のシーズン途中でのHC交代に踏み切った。代わりにHCとなったのは、プレーヤー兼アシスタントコーチだった石橋晴行。HC就任後もプレーヤーを兼任する。

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ディフェンスを見直し、精度を高める
 チームを託された時、石橋HCは「短期間で大きく変えられるわけではないので、ディフェンスをしっかりやろう」と考えたという。具体的には「ボールに常にプレッシャーをかけて、それをチームでフォローする」こと。仲西淳スキルコーチが「ディフェンスについてはローテーションとか細かな部分まで指示するように変わった」と付け足す。つまりシンプルなことをディティールにこだわって突き詰めてやっているということだ。

 このディフェンスの変化、成長は結果となって出ている。HC交代前の34試合目までの平均失点は79.1点、交代後の17試合での平均失点は75.4点と3.7点も減った。

 圧力のあるディフェンスの実行によって、スティール数も試合平均5.4→7.1とアップした。これについて仲西SCは「相手にターンノーバーさせて、ウチが走ってという展開が増えてきました。バスケットのスピードが上がってきていますね」と言う。相手のターンノーバーからのファストブレイクでリングアタックが増えた分、シュートファウルの獲得数が増え、フリースローの試投数も増えている(13.8→17.6)。またフリースローについては、成功率も10%以上アップ(65.2%→75.3%)している。石橋HCがディフェンスを見直したことによって、好循環が生まれたのだ。

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チームオフェンスと選手起用に柔軟性
 オフェンスについてはどのように変化したのか。PGとしてチームをまとめるベテラン、澤岻直人は「セットオフェンス、チームの約束事が3倍くらいに増えました。以前は少ない選択肢しかなく、仮にそれがダメになった時のバリエーションが少なかった。今は試合ごと、試合中に臨機応変に対応できるようになりましたね」と教えてくれた。

 オフェンスで手詰まりになることが少なくなったこともあるだろう、平均得点も70.3点から74.6点へとアップしている。

 澤岻はまた、「石橋HCは相手とのマッチアップや試合の時間帯、流れを見ながら選手起用をしますね。選手が持ち味を出せるように考えている。コアメンバーのみの固定された使い方ではなく、試合に勝つために必要となれば若手でも起用します。それが若手にもモチベーションになっているようです。彼らが頑張ってプレータイムを伸ばせば、僕らベテランもタイムシェアができます。このやり方で結果を出している。だから僕はいい流れだなと思っています」とチームの現状に手応えを感じているようだ。澤岻が言う結果についてだが、34試合で7勝だったチームが、HC交代後は16試合目で同じ7勝目を上げた。しかも7勝目の相手はB2でダントツの勝率を誇る秋田ノーザンハピネッツだ。

 シーズン途中でのHC交代、しかもプレーヤー兼任という難しいミッションを石橋HCは見事に遂行している。残り9試合。強豪ライジングゼファー福岡と熊本ヴォルターズとのカードも残る中、地区でひとつ上に位置する香川ファイブアローズとの直接対決もある。香川とのゲーム差は現在3。石橋HC率いる奈良はもちろん逆転を狙っている。

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