京都・永吉が空回りの理由は……
新天地で成長を感じさせ日本代表へ

2017年11月02日



文:大橋裕之/写真:B.LEAGUE

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前半空回りの理由……
 「今日の入り方は課題になるので、(明日は)出だしから最後まで自分のパフォーマンスを出したいと思います」――京都ハンナリーズの背番号43、永吉佑也は10月28日の島根スサノオマジック戦をまずはこう振り返った。前半は放った4本のフィールドゴールをすべて外すなど精彩を欠いたが、後半になると一転、198cmの体躯を生かしてゴール下を中心に8得点をあげて、85-78の逆転勝利に貢献した。

 この日は日本代表のフリオ・ラマスヘッドコーチが視察に来ていたが、そのことがプレーに影響したのか尋ねると、「(チーム関係者と話しをして)その話題を言わないことにしていたんですけど、聞かれたら……バレていますよね」と、苦笑いを浮かべ思わず本音をポロリ。「実は今日、めっちゃくちゃ気合が入っていました。だけど、それが空回りしました」と、正直に試合を振り返ってくれた。なんとも彼らしい対応だが、それだけこの試合でラマスHCに自分の持ち味である“インサイドで勝負できる力”を見て欲しかったのである。

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11歳から夢見た代表でプレーする思い
 間近に迫ったFIBAワールドカップアジア地区1次予選。日本代表にとって、ワールドカップへの出場が、東京オリンピックの出場権を得るための重要なファクターとなる。現在、永吉は代表候補選手に名を連ねている。日の丸を背負うことは、彼が小学生のころから抱き続けている夢だ。「5年生のときに、『10年後の自分へ』という手紙(に書いた時)からずっと代表選手になりたいという夢を言い続けています。それはもう引退するまで変わらないですし、そこでずっとプレーしていきたいという気持ちがあります」と、思いの丈を熱く語った。

 京都への移籍も、夢を実現させるための決断だった。昨季は川崎ブレイブサンダースでファイナルへ進出。ニック・ファジーカスやライアン・スパングラーのバックアップとして、欠かせない存在であったが、チームの要とは言えなかった。今シーズンは新天地での挑戦によって、プレーヤーとしてひと回りもふた回りもスケールアップを目指している。

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新天地が人を大きく成長させる
 2シーズン目のB.LEAGUEが開幕して1カ月。永吉はここまで11試合すべてでスタメンに起用されている。それにともなって昨シーズンから、1試合あたりの出場時間は約15分→約26分、得点は4.5点→9.1点、リバウンドは2.1→4.8と大きくアップ。コートに立つ時間が長くなったことも影響しているが、それ以上に彼の印象は劇的に変わった。川崎時代に見受けられたマッチアップの接点で逃げてしまうプレーや、パスコースを探し、どこか周囲を気にするようなそぶりは一切ない。自信を持って、どんな相手でも立ち向かい、力強さが増した。アウトサイドでボールを受ければ、3Pシュートも放つ。それについて本人に問うと、次のように語っている。

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 「オフェンスはアグレッシブになりました。ペイントエリア外でボールを受けても、必ずリングを狙います。川崎時代はまわりに良いシューターがそろい、ファジーカス選手もいる中で、その選手たちにどうやって気持ちよくプレーさせようかということばかり考えていました。それはチームの役割として重要なことだったと思います。ですが、京都では違うスタイルを求められています。その要求に応えて、積極的にオフェンスを続けていることが、そのように感じられる理由になっていると思います」

 環境は人を変えると言われることが多い。彼はいま、ファイティングスピリットとプライドを強く抱き、自らのパフォーマンスでチームメイトをけん引する選手に変化しつつある。

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浜口HCもエール、「目指せ最後の12人」
 移籍による追い風に乗り、永吉の成長は著しい。所属チームの浜口炎HCもそれを感じており、さらにAKATSUKI FIVEで活躍することを望んでいる。「インサイドで活躍することはもちろんですけど、ワイドオープンの3Pシュートを入れていく力がないと、簡単には代表まで届かないと思います。いまの調子でしっかりとステップアップして、代表に定着するように頑張ってほしいと思います」と、一番近くで見ているがゆえに、注文も忘れなかったが、エールを送っている。

 あと3週間ほどで世界へ向けた大事な初戦だ。竹内譲二(アルバルク東京)、竹内公輔(栃木ブレックス)、太田敦也(三遠ネオフェニックス)ら経験豊かなベテランたちを押しのけていけるのか。日の丸に対する熱い思い、アグレッシブに戦う気持ちを胸に抱いて、最終12名のロスター入りを目指す。