Zgirls(東京Z)の信念
──Fukaが目指すチアリーダーの理想像

2017年11月01日



文:吉川哲彦/写真:大澤智子

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  2シーズン目を迎えるB.LEAGUE。クラブや選手の認知度が高まっていることは言うまでもないが、同時に各クラブのチアリーダーも今まで以上に注目されている。もともとbjリーグではチアリーディングチームを持つことが義務とされており、B.LEAGUEとなった今は旧NBL、NBDLの各クラブもチアリーディングチームの充実を図るようになってきた。

 その中で一際ファンからの熱視線を浴びているのが、アースフレンズ東京Zのチアリーディングチーム、Zgirlsだ。クラブのプロ化とともに活動を開始し、今シーズンで4年目。オフの間に新衣装製作のためのクラウドファンディングを実施したことでも話題になり、B2所属ながらB1クラブ以上の支持を集めるまでになった。その秘訣を探るべく、ディレクターを兼ねるFukaに話を訊いた。

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 結成1年目から在籍し、2年目からディレクターも兼ねているFukaは、3歳でクラシックバレエを習い始め、大学でもダンスサークルに籍を置いていた。チアリーダーになったきっかけは、「たまたま友達から誘われてオーディションを受けた」からだった。

 「チアリーダーを目指して頑張ったわけでもないし、ポンポンを持ったこともなかった。最初の頃はあまり深く考えずに『踊りって楽しいな』という感覚だけでした」

 踊ることが大好きなFukaは野球とアメリカンフットボールのチアリーダーを経験し、テーマパークのダンサーを経てZgirlsに加わっている。スポーツに限ればバスケットは3つ目の競技となるが、そのFukaと同じようにチアリーダーはダンスで育ってきた人が多く、バスケット一筋のチアリーダーは少数派だという。

 「中にはバスケが好きでチアリーダーになって、同じバスケでチームを移る人もいます。でも1つのチームを応援してしまうと、チームを替えた時にそのチームが敵になってしまう場合もあるので、同じスポーツで違うチームを応援するというのは難しいという人のほうが多いと思うんです」

 ちなみにFuka自身はZgirls加入前からバスケに魅力を感じてはいたが、競技の経験はなく、「ドリブルしながら走れないので、なるべく避けてきた(笑)」そうだ。

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 Zgirlsに話を移そう。他クラブのチアリーダーに比べ、Zgirlsには清潔感や親しみやすさを感じるという声が多い。その裏には、Fukaの細部にまで行き渡ったこだわりがある。

 「女性らしさ、おしとやかさをコートの外で、誰も見ていないかもしれないところで心がけるというのを大事にしています。荷物がちゃんと整理されているか、普段からお互いのことを思いやって行動できているか……踊っているところを見ただけではわからないかもしれないんですが、そういうところを大事にして、そこでできた絆がコート上で皆さんに伝わればと思っています。踊りがカッコいいチームや衣装が素敵なチームはいっぱいあるので、それとは違って女性らしさや洗練された感じを出したいんです。渋谷よりも表参道のイメージです。わかりますかね?(笑)」

 他にも、メイクや髪の色は派手にならないよう抑える、人前でコンビニの袋を持ち歩かないなど、メンバーと共有している細かい約束事は多岐にわたるという。近寄りがたいオーラを出さないように心がけつつ「手が届かない」感も出したいという、簡単なようで難しい「ファンとの適度な距離感」をつくり出そうとしているのだ。

 それができるメンバーが揃っているからこそZgirlsというチームが成立し、人気を博しているのは間違いない。とはいえ、その資質をたった1日のオーディションで見抜くことは容易ではないはずだが、コート外での行動にも気を配るだけあって、「私と面談している時以外の立ち居振る舞いを見るようにしている」と、その見極め方もFukaならではだ。

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 たまたま受けたオーディションに合格してチアリーダーの道を歩み始めたが、そこからチアリーダーがどうあるべきかを常に考え、実践して今の高みにのぼったFuka。先だって、千葉ジェッツふなばしがチアリーダーの専属契約、いわゆるプロ化に乗り出したことは周知のとおり。その話題をFukaにもぶつけてみた。

 「ジェッツさんは集客などいろんな面で成功しているので、それに関しても第一人者として先陣を切ってくれたんだと思うし、広まってくれればいいなと思います。でも、全チームがそれをやろうとしても追いつかないチームも出てくるだろうし、『お金をもらえるなら』という人が出てくるとしたら、それもどうなのかなと……やっぱり、『このチームでやりたい』と思って入るほうがやりがいはあると思います」

 プロではないFukaは当然、チアリーダー活動と並行して平日に別の仕事をこなしている。毎日朝に出勤し、退勤後の夜に練習をして週末の試合を迎えるという生活サイクルが、体に少なからず負担をかけることは想像に難くない。特にFukaはディレクターとして人一倍頭も酷使する立場でもあるが、それでもチアリーダーとしてプロ意識を持ち、全力投球することを忘れない。

 「私は睡眠不足が一番ダメなので、正直言って眠い日もあります。でもコートの上では常に笑顔でいたいし、ファンの方から元気をもらえるので、大変ではあるんですけど『もう嫌だ』と思うことはありません」

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 観客席を埋めるファンの存在は、選手のみならずチアリーダーにとっても何よりのモチベーション。昨シーズンの最終節で両日3,000人を超えるファンが集まったことは、Fukaも「戸惑いました」とは言うものの、やはりこの上ない喜びだったようだ。

 「知り合いや1年目から見てくださっているファンの方がいっぱいいたので、『あっちも見たい、こっちも見たい』と思っているうちに『どっちが前だっけ?』ってなっちゃったりしたんですけど(笑)、やっぱりこれが毎試合続けばいいなと思いました。たぶん、チームのみんながそう思っていると思います。お客さんが少なくても、負けていても同じ気持ちでパフォーマンスしなきゃいけないので、人の多さでモチベーションが左右されてはいけないと思うんですけど、やっぱり1年目から見ていると『ここまでチームが大きくなったんだな』と感慨深くなりましたね」

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 言うまでもなく、B.LEAGUEはまだ2シーズン目が始まったばかり。クラブにも選手にも、そしてチアリーダーにもこれから長い道のりが待ち受けている。その未来が明るいものであるかどうかはそれぞれの努力次第だが、努力した分だけ喜びも大きいことを知ったZgirlsのそれは限りなく明るい。