落ち込む暇なし、名古屋D・船生
“シックスマン”への新たな挑戦

2017年10月19日



文:大橋裕之/写真:B.LEAGUE

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B1ワースト失点、守備の要に頼りたいが……
 9月29日の開幕戦、名古屋ダイヤモンドドルフィンズは昨季のチャンピオンシップ準優勝の川崎ブレイブサンダースに競り勝ち、好スタートを切ったかに見えた。しかしその後は5連敗。そのうち3試合は前半先行しながらも、3Q以降にまくられるなど、昨季を思い起こさせる接戦の弱さが目立つ。平均失点も83.8点とB1のワースト記録であり、アップテンポで攻撃的な走るバスケを目指すが、守備で踏ん張りがきかないと、打ち合いにも勝てない。この状況から抜け出すために、ディフェンスの要というべき背番号6、船生誠也を浮上のキーマンに挙げたいが、今季はなかなかそうもいかない様子だ。

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収穫ゼロ、落ち込む“シックスマン”
 彼は移籍1年目の昨季、レジー・ゲーリー前HCに「本能」と表現された守備力を見出されて、スタメンに定着。ベンチ入りした57試合中、48試合で先発し、対戦相手の得点源を抑えるべく奮闘した。しかし今季はチームの方針で、ベンチスタートでコートに立つ。もちろんこれには理由がある。梶山信吾HCが、目指すバスケをするために、シュート力と状況に応じたバランスの良い攻撃ができるルーキー、安藤周人をスタートに起用したためだ。この起用法については、シーズン前に指揮官から船生に対して、直接話があったという。

 ただ、“シックスマン”という新しい役割を遂行することは簡単なことではない。母校である青山学院大学で臨んだサンロッカーズ渋谷との2連戦で、チームは勝てず、本人も両日通してわずか2得点、1アシスト、スティールは0。彼らしいボールを奪う嗅覚も影を潜めるなど精細を欠いた。「(良い)プレーができなかった。ボールがまわってこなかったと言えば言い訳になりますが、自分で動いてチャンスを作れず、ディフェンスでもアグレッシブに自分から流れを作れなかったことが悔しいです」と、なにひとつ収穫がなかったことに落ち込んだ表情すら見せた。さらにマッチアップした同学年のベンドラメ礼生にも、2桁得点を許すなど、「完全にやられました」と振り返るほかなかった。

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悩む暇はなし、ポテンシャルは十分
 チームのスタートダッシュ失敗に比例するように、今は船生にとっても悩める時期だ。持ち味である守備はやって当たり前で、さらに攻撃でどこまで貢献ができるのか。昨季は試合開始からエナジー全開で挑み、流れの中から得点をすればよかったが、今季は違う。彼自身が良い流れを生み出し、悪い流れを断ち切る必要がある。

 「代わって入った選手が点数を決めたら、(チームは)ノッていく。ディフェンスは自分の感性を活かして一所懸命やって、オフェンスにつなげていきたい」と、本人もなにをすべきかわかっている。

 直近2試合の合計スタッツは、得点やアシストが低調だったうえに、2Pシュートの試投数は4本、3Pシュートの試投数に至っては0本とそもそも仕掛けすらしていなかった。次戦、三遠ネオフェニックス戦では、奮起を期待したい。ホーム開幕戦となった琉球ゴールデンキングス戦では、敗れたとは言え、24分間の出場で13得点、3アシストをマーク。数字を残すポテンシャルは十分に持っているのだから、悩んでいる暇はない。

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「難しい」役割への挑戦でステップアップを誓う
 船生にとって、B.LEAGUE2年目は間違いなくステップアップのシーズンになる。本人も「そうしたい」と意気込み、いまの心境の次のように語る。「正直、スタートよりもあとから出るほうが難しいと思っています。だから、難しい中で自分がどうできるのかという挑戦でもありますし、そこは楽しみたい。(ベンチスタートだと試合の入りは)体が温まっていないことや、ゲームに乗り切れていないこともあるので、そんな中で結果を残せるようになったら、スタメンで出たときに、(今まで以上に)もっとできると思います」。

 久々の勝利、さらには今季初のホーム初勝利を目指す三遠戦で、いまの状況からどれだけカムバックできるのか。「負けたらどうこうではなく、(集中して目の前の)ゲームに全員が臨み、チーム全員でバスケがしたい」と、暗くなりがちな中、船生は前を向く。プロバスケ選手としてスキルもメンタルもスケールアップできるチャンスが、彼の目の前に広がっている。