「新人を脱出したい」秋田・中山
B1復帰をめざす若き司令塔の誓い

2017年10月10日



文:大橋裕之/写真:大澤智子

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昨季を思い返すと……
 「コートに出てナンボなので、プレータイムが伸びるようにもっともっと頑張らないといけない」――これはB2・秋田ノーザンハピネッツの背番号17・中山拓哉が、昨季の終盤戦に口にした言葉だ。当時はB1残留プレーオフ回避に向けて、苦しい戦いが続いていた時期。特別強化指定選手として、チーム最年少であったが、メインガードだった安藤誓哉(現アルバルク東京)の負担を減らす存在として奮闘していた。若さゆえにミスもあったが、それを次のプレーでカバーするべく、すぐに切り替えて、アグレッシブにプレーする姿が印象的だった。

ひと夏を越えて意識の変化
 ひと夏を越えて、中山は「B1復帰」を至上命題とした秋田の中心選手としてコートに立つ。チームは開幕4連勝を飾り、彼はそのうち3試合でスタメンに名を連ねた。司令塔として1試合平均約24分間の出場で、11.0得点、5.0リバウンド、3.3アシストを記録し、ディフェンスでもスティールから速攻の起点になるなどで、攻守に活躍が光る。ただ本人にとっては、「今年のチームはスタメンとか(ベンチとか)なくて、みんなで戦うチームなので、そういうのは意識していないです」とのこと。

 新たに指揮を執るジョゼップ・クラロス・カナルスヘッドコーチが、「秋田のために戦う気持ちの入った選手たちが集まった」と12名のロースターを表現していたが、彼もチームのために自分の役割をまっとうしようとする意識を強く持つ。

 とりわけ、新しい秋田を象徴する“激しいディフェンス”を体現するうえで、球際の強さは重要であり、彼はチームのために「リバウンド」を意識していきたいと言う。「ガードがリバウンドを取ることは、(味方にとって)大きいことだと思います。(平均で)5本以上は取っていきたい」と、目標を掲げる。イメージで言えば、琉球ゴールデンキングスの渡辺竜之佑のようで、「そうですね。竜も(リバウンドを)取りますよね!」とうなずいていた。ここまでの平均は5.0本で、ひとまずはクリア。シーズン通して取り組んでいけるか注目だ。

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「新人を脱出したい」ワケ
 そんな中山に歩みだしたプロキャリア1年目の心境をうかがうと、彼をルーキーとしてとらえていた見方を覆された。「僕は新人ではないと思っています。コートに出たら、(年齢やキャリアに関係なく誰もが)同じプレーヤーになります。新人だからと言われたくもないし、ひとりのプロバスケ選手としてやっていきたい」。自信を持ったはっきりとした口調でさらに、「新人だけど凄いではなく、“アイツはすごい”と見て欲しい。“新人”を脱出したいですね」と言い切った。

 半年ほど前まで大学生であったが、秋田の選手としてB.LEAGUE屈指の目の肥えたブースターたちの前でプレーしたこと、B2降格の悔しさを味わったことなど、多くの経験がこのような言葉につながっているのだろう。ブースターのために、応援してくれる人たちのために、早く一人前になってやるぞ、という気概を感じさせた。

 そして彼の理想は「最後のワンプレーを任される選手」。接戦で勝負のかかった局面でコートに立つことだ。ラスト数秒で決勝点を取りにいく。プレッシャーのかかることだが、チームの勝敗を握るビックプレーを決める覚悟だ。

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B1復帰を目指すべく「もっとできる」
 プレシーズンゲームを経て、開幕より4試合が終了。指揮官は中山のプレーに対して、「いままで見せてくれているパフォーマンスを続けてほしい」と好評価を口にした。ただ本人に言わせてみると、「まだペップに求められていることには達していないと思います。会見ではそのように言っていますが、もっとできると思ってくれているし、僕もやらないといけないし、もっとできると思います。スタッツに残るような活躍をしたいです」と、チームのためにどん欲な成長を誓った。彼が成長した分だけ、秋田の「B1復帰」がより近づくことになる。

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