「東京」の看板を背負う4つのプロクラブ
それぞれの現在地

2017年05月16日



文:吉川哲彦/写真:B.LEAGUEB3リーグ

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 B1とB2、B3に所属する全45クラブのうち、東京をホームとしているのは企業形態の2クラブを含めると8クラブにのぼる。B1のアルバルク東京とサンロッカーズ渋谷にスポットライトが当たりがちだが、ともに昨シーズンまでは企業形態であり、プロとしては1年生。純粋なプロクラブとしての活動期間でいえば、B2、B3の4クラブが上まわる。来シーズンのクラブライセンスも交付された今、その4クラブの現在の立ち位置はどうなっているのか。

クラブライセンス制度の明暗
 
クラブライセンスと聞いてまず頭に浮かぶのは、昨シーズンまでNBDL3連覇を果たした東京エクセレンスのB2ライセンス不交付だろう。ホームアリーナの小豆沢体育館(東京板橋区)は最大で1,005人しか収容できないが、クラブが板橋区に3,000人収容可能な新アリーナの建設を求めたことが考慮されて、今シーズンはB2に参戦できた。しかし、行政サイドの回答は「早期の建設は困難」。来シーズンはB3にステージを移すこととなる。

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 石田剛規は、在籍4年目とあって小豆沢への愛着が強い1人だ。

 「選手としてはコートに立ったらやることは変わらないし、小豆沢のお客さんの声援を聞けばモチベーションも上がります。チーム全体にショックがあったのは確かですが、お客さんにそういう空気を感じさせてはいけない。非日常の空間を楽しんでもらうのが僕らの仕事です」

 新たなホームアリーナ探しは喫緊の課題。その上で、小豆沢で積み上げてきた成果に関しては石田も胸を張る。

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 「我々はこの体育館を選んで、『スポーツを文化にしよう』というスローガンを掲げてやってきた。お客さんが熱い声援を送ってくれているので、そこはスローガンどおりにできていると思います。『3000人』というリーグの基準がある以上、策を練っていかないといけないですが、今の時点で選手のパフォーマンスやスタッフの運営といった部分は大成功だと思うので、自信を持ってやっていきたいです」

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 そのエクセレンスと東京ダービーを繰り広げてきたのが、アースフレンズ東京Z。クラブチームからプロとなって3シーズン、チームの指揮を託されたのが小野秀二だ。選手、コーチのキャリアが長い小野にとっても、完全なプロチームに在籍するのは初めてのことだった。

 「若い選手が多いので、渡邉拓馬や中川和之といった手本になる選手を入れて、プロとしてバスケットに臨む姿勢を植えつけることを第一にやってきました。3年間で選手の入れ替わりはありましたが、僕自身やフロントも含めて、プロとしての意識や自覚といったチームの根本を流れる部分はしっかりしてきたと思います」

 ホームアリーナは、B1各クラブにも見劣りしない大田区総合体育館。小野も「子どもたちが『ここでプレーしたい』と思ってくれるように」と期待を込める立派なアリーナだが、今シーズンの入場者数はホーム30試合中28試合を消化した時点で1試合平均915人と、そのキャパシティーを考えるともったいない状況だった。

 その大田区総合体育館に変化が起きたのは、シーズン最終節の2試合。フロントが両日2,500人動員を目指して集客に力を入れた結果、5月6日が3,253人、翌7日が3,635人と目標を大幅に上まわる数字を叩き出したのだ。残念ながら試合は連敗してしまったが、会場の応援の一体感はホームコートそのものだった。

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 「やはりこれだけのお客さんの中では緊張もあったのかな。しかし、応援は励みにしなきゃいけないし、人の目が選手を成長させてくれるということも実感しました。選手たちも今までの28試合とは違う勉強をしたと思いますし、僕自身も、ケガ人がいる等チーム事情はあってもそれを言い訳にしている場合ではないという気持ちになりました」

 3シーズン目の最後に、プロクラブとしての可能性を示したアースフレンズ。4シーズン目のさらなる飛躍への期待は高い。

“プロ”として、新たな可能性を探るB3の2クラブ
 B3でプロとして活動するのは2クラブ。まだ創設2シーズン目の東京八王子トレインズは、その名のとおり拠点は八王子だが、すべてのホームゲーム会場を八王子市内で確保するのは難しく、都内のライバルチームと共催することもあった。また、立川市泉市民体育館ではホーム・アウェイの両方で試合をしたこともある。

 この点について、広報担当の森川麻美さんは「できれば八王子市内だけで試合をしたい」と本音を口にする。

 「もともとバスケの盛んな地域で、他のスポーツもプロチームがないので、バスケットで八王子に根ざして盛り上げていこうということで立ち上げました。実際、エスフォルタアリーナ八王子で試合をするとお客さんも入るというのは今シーズン特に実感していますが、市外になると集客が落ちてしまう。そこはリーグからも指摘されているところです」

 残念ながら今シーズンはBリーグ準加盟の段階で脱落してしまったが、来シーズンももちろんB2昇格を目指して活動していくことになる。昇格実現のためには経営基盤の安定化と集客面の強化、そして誰の目にもわかりやすい「チームの強さ」が必要だ。

 「B3に都内のチームがさらに増えることになるので、トレインズのカラーを出したいです。演出への力の入れ方は都内の他のチームに勝ると思います。試合だけでなく、会場にいる時間を目一杯楽しんでいただける興行をめざしています。そして、やはりチームが強くなければ、というところですね。まだまだ八王子にもバスケのことをよく知らない方が多いので、勝ち続けるチームという印象を持っていただいて、応援してくださる人を増やしたいと思います」

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 最後に紹介するのは、4チームの中では最もプロとしての活動歴が長い東京サンレーヴス。原島敬之代表はプロリーグへの登竜門という色合いの濃いB3をあえて主戦場に選択した。

 「もちろんいずれはB2、B1へという目標はありますが、まずは地に足をつけて、身の丈に合った運営をしていくこと。無理してB2に入って結局立ちいかなくなっているチームもありますし、我々としては継続することが大事。少しずつでもいいから経営基盤を固めていきたいというスタンスです」

 プロである以上、勝利を追求するのは当然のこと。サンレーヴスもbjリーグ参入当初は強化にも力点を置いていたが、経営状況が横ばいでは戦力も固定できず、2シーズン前からは新たなチームづくりにシフトしたという。

 「他チームで出番に恵まれなかった選手にチャンスを与えて経験を積ませること、キャリアを後押しすることに力を入れています。B3には、そういうチームがあってもいいのではないかと思います。また、特別指定選手の枠を利用しただけでなく、B3には留学実績選手枠というのもあるので、プィ・エリマンを獲ることもできました。彼はもう漢字も書けるし、すぐにでも日本国籍を取得できる。彼も含め、ここからB2やB1にステップアップしていく選手もいると思います。戦力という意味では手放すのはもちろん痛いんですが、それは彼らが成長した証でもあるし、現実的なことを考えると我々に移籍金が入るというメリットもある。そうすることで徐々に結果もついてくるチームになるのではないかと思います。選手とともに成長していけるクラブでありたいというのが我々の考え方です」。 161009TOKHAC_069

 4者4様、まだまだこれからの若いクラブばかりだが、その分伸びしろは大きく、それぞれが特色を売り出そうと努力している。来シーズン以降、B1の2クラブも含めた都内のクラブがどのような楽しみ方を提示してくれるか、要注目だ。