「試合に出たかった」杉浦の3カ月
大学生が感じた“プロになる”とは

2017年04月17日



文・大橋裕之 写真・B.LEAGUE

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たった6試合、「試合に出たかった」
 B.LEAGUEが導入した「特別指定選手制度」を利用して、筑波大学に在籍しながら、1月にサンロッカーズ渋谷に入団した杉浦佑成の挑戦が、4月8日の横浜ビー・コルセアーズ戦をもって、ひとまず終わった。昨年、大学三冠(トーナメント、リーグ戦、インカレ)を成し遂げ、インカレでは得点王とMVPをダブル受賞。「日本代表候補 重点強化選手」にも名を連ねる選手が、B1でどこまで通用するのか注目が集まった。しかし、残せたスタッツは、6試合の出場(約26分間プレー)で7得点。彼のポテンシャルから考えると、モノ足りないだろう。

 もちろん、これには理由があり、「日本代表チーム 重点強化合宿」への参加や、5月の李相佰盃、8月のユニバーシアードを見すえたU-24強化合宿(海外遠征を含む)などをこなしたから。十分にSR渋谷の練習に参加できなかったことが影響している。本人も代表活動との両立が難しかったことを感じつつ、「もっと試合に出たかった」と胸の内を明かした。

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コートに立てないという経験
 ではSR渋谷で過ごした時間は、杉浦に何をもたらしたのか。それは今まで主力として試合に出ることが多かった彼にとって、「ベンチでのモチベーション」をコントロールする経験を磨けたことだ。大学2年生のとき、ユニバーシアードで試合に出られない経験をし、「悔しさが先行して勝っても喜べなかった」という反省を、今回は活かして臨んだという。「(コートに立てなくても)いかに試合へ参加していくか、という部分は意識しました。(ベンチからチームを)盛り上げることは得意ではないですけど、良いシュートが決まったら一緒に喜ぶ。そうしないと、いざ試合に出たときに気持ちが入っていかないので、大事なことだと思います」。

 今春からは最上級生で、チームメイトであり、同じく重点強化選手の馬場雄大とバスケ部を引っ張る立場になった。SR渋谷での経験は、本人にとって意義あるものであり、チームで控えにまわる選手や、スタンドで応援する仲間、サポートスタッフの気持ちを思いやるときに活きてくるはずだし、率直な思いを伝えてほしい。チームをまとめるヒントにもなるはずだ。

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プロになるとは?
 杉浦の1つ上の先輩、生原秀将(栃木ブレックス)、満田丈太郎(横浜ビー・コルセアーズ)、小原 翼(富山グラウジーズ)らは、B.LEAGUEの門を叩いて「プロ」バスケ選手になった。将来的には彼もそれに続いてほしい存在であるが、ではこの3カ月間で、プロになるイメージは描けたのだろうか? 本人は次のように教えてくえた。

 「(横浜戦を控えた)一昨日ぐらいに、風呂に入りながら、ふと思ったんですよ。“スタッツ”がすべてかなと。大学までは『名のある選手』がすごい選手だと思っていたんです。だけど、プロだと成績を残すこと。それが毎年の積み重ねになって、その選手の価値になっていくのだと思います」

 彼の感じたことは的確だった。もちろん守備に長けた選手やスクリーンをかけるのが絶妙にうまい選手、さらには人間性の優れた選手など、数字で測れないこともあるが、スタッツは重要な評価基準であり、残っていくものだ。だからこそ、プレータイムが長い主力選手には、それに応じたパフォーマンスが求められ、控え選手は限られた時間で結果を出すことが求められる。コートに出たら、“手ぶら”で帰ってくるのではなく、是が非でもシュートを狙い、ファウルをもらってフリースローでもいいから得点をもぎとる、ぐらいの気概が必要だ。大学バスケ界でトップクラスの彼が、「名前ではなくスタッツ」だと、このタイミングで気づけたことは、きっと飛躍の糧になるはずだ。

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「全部勝ちたい」2年連続の3冠へ
 B.LEAGUEで経験を積み、気づきを得た杉浦は、4月22日に開幕する関東大学バスケットボール選手権大会(通称トーナメント)で、大学ラストシーズンに入る。目標はもちろん「全部勝ちたい」と2年連続の大学三冠をめざす。次回のオールジャパンはレギュレーションの変更が発表され、これまでのような大学の出場枠が消滅する。サッカー同様、地方予選突破が義務づけられ、インカレとオールジャパン予選がバッティングする。もし、オールジャパン出場がかなわなければ、年を越さずに引退もありうる。B.LEAGUEで見せた姿と違う杉浦、さらには未来のBリーガーを探しに、今年はカレッジバスケへ足を運ぶことをオススメしたい。