「なじんできた」狩俣の新天地での役割
“良さ”を出して常勝の歴史を紡ぐ一員へ

2017年03月22日



文・大橋裕之 写真・B.LEAGUE

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司令塔不在を感じさせなかった理由

 シーホース三河が3月17日、18日に敵地に乗り込み、中地区で首位を独走する川崎ブレイブサンダースに2連勝を飾った。昨季のNBLファイナルで敗れて以来の戦いとなり、来るB.LEAGUEチャンピオンシップを占う上でも重要な対決において、三河は主将で司令塔の橋本竜馬を欠いたが、その影響を感じさせなかった。

 特にスタメン起用されたポイントガードの狩俣昌也は、先勝した第1戦(65‐92)、出だしから川崎の篠山竜青へのタイトな守りで出鼻をくじき、リードして迎えた3Q終盤には攻め急がず、チームを落ち着かせた。この場面で、鈴木貴美一ヘッドコーチは、“そうだ、そうだ”と言わんばかりにベンチで何度もうなずく姿があった。試合後も、「ゲームをやるにつれて非常にチームへなじんできた。今日も強い川崎さんに対して、しっかり役割ができたのではないかと思います」と、今季より加入した森川正明とともに彼のプレーについて手応えを口にした。

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本質は変わらない、新天地での役割

 狩俣はプロ5年目。千葉ジェッツからキャリアをスタートさせると、琉球ゴールデンキングス、福島ファイヤーボンズを経て、三河へ移籍した。bjリーグ時代の福島では2014-2015シーズンに最も成長した選手に贈られるMIP(Most Improved Player)を受賞して頭角を現し、主力として“チームを勝たせる”存在となった。

 新天地では、チームを支えるベンチプレーヤーへと立ち位置は変わった。しかしプロ2年目の琉球時代に控えを経験しており、それを思い出しながら、「チームのためにプレーする、何ができるのか考えながらやっています」と、本質は変わらないという意識で、バスケに向き合っている。

 いま、彼が求められていることは2つ。1つは「ガードとしてチームの流れをつくり、ボールをプッシュする。ディフェンスではサイズがないので、前線から足を使ってプレッシャーをかけること」。もう1つは「オープンになったらどんどんシュートを狙っていくこと。これは福島のときから変わりません」という攻めの姿勢だ。第2戦(78‐87)では、この言葉の通り、2本の3Pシュートでゴールを射抜いてみせた。リーグ屈指のインサイド陣の怖さを引き出すには、外角から攻撃は必要不可欠なだけに、彼の良さに期待がかかる。

 

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強豪チームで狩俣が今、求められていること

 狩俣はいま、三河の一員としてステップアップしている最中だ。今後の課題については、「もっと自分の良さをチームの力に変えること。もっと良さを出して貢献できるようになりたい」と言う。メインガードの橋本が不在となり、狩俣は3月に入り、2月までと比較して出場時間は約11分 → 約20分と大きく増えた。それにともない、FG試投数は3.1本 → 5.8本、得点も2.7 → 4.2点とスタッツを伸ばしたが、「もうひと声」ほしいところだろう。相手のガードにリズムをつくらせない守備で貢献する一方で、出るからには持ち前のシュート力でより一層、チームを勢いづける活躍が期待される。

 「橋本選手が離脱したことはチームメイトとして残念ですけど、シーズンを通して積み上げてきたものを出せるチャンスだと思う。代わりはできないですけど、自分らしさを出すために、集中してやっています」と、自らを表現できる絶好の機会と十分に認識している。主将の存在感を考えれば、「代わりはできない」と、口にするのも自然なことかもしれないが、狩俣が良さを出し切って、「橋本の代わりとなる存在」になってくると、三河の強さはさらに増す。

「ずっと求めていた環境」で歴史を紡ぐ一員へ

 三河で過ごす今シーズンを狩俣は、「ずっと求めていた環境」と表現している。そして「すごい選手や素晴らしいHCがいる中で、自分がチームメイトとして生きるということは日々の練習から刺激になっています。本当に学ぶことがあって、(ここでバスケができることが)楽しいです」と教えてくれた。

 自力でたぐり寄せた新天地で、彼が常勝の歴史を紡ぐ一員としてふさわしい選手になるべくプレーする姿は、これからも目が離せない。